NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
◇10年目11月◇
今年の春に懸念していたように、カンナ神威・マッキー上戸・伊達遥とスター選手の引退が相次ぎ、戦力ダウンは否めない。
それを補強すべく始動させた”ハッピー枠”こと戦力発掘プロジェクト”ハッピープロジェクト”だったが、最初の補強選手だった富沢レイがわずか2ヶ月で電撃引退してしまい初手から躓いてしまった。
(※なお一部提携団体では”チャレンジ枠”と呼称する類似のプロジェクトを始動させた模様。
真似をされるのは悪くないことだし、そのネーミングは私も考えてはいた案の一つだった。)
だからこそ本家である”ハッピー枠”に新たな戦力を加えることにしようと思う。
このまま沈静化してしまったら、何のために”総資金の25%(注1)”をつぎ込んだのかわからないではないか。
富沢以降のハッピー枠での成功は、東北を中心に活躍している“妖精の庭園”のパワーエース中江里奈(26)が3ヶ月短期留学、そのパワーと、ベテランの経験で会場を沸かせてくれた。
(この団体の興行日誌を読ませていただき、”プロレスはファンタジー”という言葉を思い出した。うちのカンナのマスクの話もかなりファンタジーな設定だったな。)
彼女はパワータイプだからなぎさにとっては良いお手本になったはず・・・
「・・・お手本になった気がする。」
うーん・・・なぎさ・・・。
お手本になったのかならなかったのかは本人のみが知るって事か。
他にも大阪女子の滝、クラリッジなどがハッピー枠で参戦してはいたが、富沢レイ・中江里奈ほどの活躍を見せる事はなかった。
クラリッジは「もう一回や。」
というので2ヵ月後に再契約したものの、成長著しいなぎさに子供扱いされる始末。
「・・・ぶつかってみる。」
なぎさに思いっきりふき飛ばされ、客席の失笑を買うレベルではNEW WINDにはいらない。
かわいそうだけど大阪女子へと戻ってもらった。
こう書くと偉そうに聞こえるかもしれないけど、あの程度ではNEW WINDのレスラーとして認める訳にはいかない。
キャリアの一番浅いなぎさと好勝負、もしくはそれ以上の実力がないと継続参戦は難しいだろうな。
もしくは富沢のように魅せるプロレスができるだけのキャリアがあればいいけど、そこまでは無理だったようだ。
「やはり”ハッピー枠構想”は難しいのではないでしょうか?レイさんや、里奈さんは頑張ってくださいましたが・・・」
と難しい顔をしたみこと。
「うーん、でも今度の子は期待できそうだよ。」
といって私はみことに資料を渡す。
「えーと、関東女子プロレス連合の”ジャンヌ永原選手”ですか。蓮さん達と同い年ですね。」
「うん。あの時もスカウト候補には入っていたんだ。枠があったら獲りたい人材だったけど・・・。」
「ちょうどあの頃は寮が一杯な時期でしたね。佐知子さんの退団でシャイニングさんが入れ替わりで入団してきた時期ですから。」
みことはちょっと寂しそうにする。
ラッキーのことを気にかけているのだろうか。
「あれから2年ほど過ぎてしまったけど、まだ若いし、スイレンたちにもいい刺激になるんじゃないかな。」
「そう思います。ジャンヌさん楽しみですね。」
ジャンヌ永原。群馬県出身
”ジャーマンスープレックス”の使い手であり、関東女子プロレス連合の中では期待されている若手選手。
同じスープレックス使いの相羽の刺激にもなるだろうな。
なお吉田が先月のMAX WIND戦でケガ。
ちょうど写真集の依頼がきたので、療養がてら撮影に出ている。
「一冊買うかな・・・」
と呟いたら、「もっと買ってください。」といわれてしまったよ。
でも本当に買って返るとうちで怒られるので、事務所においておこう。
“THE・ジャーマン シングルマッチ30分1本勝負”
と相変わらずセンスのないネーミングをつけられたのは相羽とジャンヌのシングルマッチ。
「!!」
ハッピー枠入団のジャンヌ永原を最初に迎え撃つのは相羽。
先に火を噴いたのはキャリアでは上のジャンヌのジャーマン。
確かに噂どおり美しい人間橋だな。
「てえいっ!」
相羽はカウント2.5で跳ね除けると、ジャンヌの腰に手を回す。
「すっごいのいきます!」
相羽必殺のスターライトジャーマンが炸裂。
ジャーマン使いの意地で返したいジャンヌだが、ガッチリと押さえられてしまいそのまま3カウント。
「やった!勝ちました!」
相羽がまるでベルトを取ったかのようにはしゃぐ。
気持ちはわかるけど喜びすぎじゃないのかな・・・ひとまずジャーマン対決は相羽の勝利。
「いくら先輩といえども初参戦の人に負けるわけにはいかないですから。」
「悔しい。私はそれなりに努力してきたけど、やっぱりジャーマン以外の練習量に差がありました。素直に負けは認めるけど、でもジャーマンの一番の使い手は私です。」
相羽とジャンヌはこのあとも対戦が組まれることが多くなる。
だが相羽がジャンヌに3カウントは取られる事はなかった。
キャリアでは1年先輩のジャンヌではあるが、NEW WIND育ちの相羽の方が濃密な時間をすごしているからだろう。
道場もあり、プロレスに専念できる恵まれた環境であるNEW WINDと、アルバイトをしながら、道場もないところで練習をしているインディー団体では、プロレスに賭ける時間が違う。
我々だって最初から施設が揃っていたわけではないから、今の施設で1期生が練習していたら・・・と思う時だってあるわけだし。
“プロレスを愛する気持ちは負けない。”
とジャンヌは入団手続きの時言っていた。
それは大事なこと。
プロレスLOVEを忘れたら、それはプロレスラーじゃない。
「素質はあると思いますよ。投げ技の素質なら結城や永沢に勝るとも劣らず。抜群の足腰を持っています。惜しむらくは一番吸収のいい時期を無駄にしてしまった事ですかな。」
とダンディさん。
確かにそうかもしれないけど、それでもまだ17歳だ。
どう成長するか、楽しみにしたいと思っている。
「社長、お話があるのですが・・・」
ジャンヌの参戦で盛り上がった11月興行終盤、みことが神妙な顔つきで事務所へと来た。
私はみことの表情から察し「引退するのか?」と聞いた。
できれば、違ってほしいと思いながら。
「はい。お察しの通りです。そろそろ潮時のようです。」
やはりそうだったか。
「そうか・・・残念だ。寂しくなるな。」
「今までお世話になりました。ご恩義一生忘れません。」
これで今年4人目の引退か。
5月にカンナ、8月がマッキー、10月には伊達で、12月はみこと。
これで2期生までが全員引退することになる。
NEW WINDの歴史を創ってくれた世代が全てリングを去るか。
現在NEW WINDに所属している選手は、引退するみことと、ハッピー枠のジャンヌを入れて総勢12名。
年末には11名になってしまうのか。本当に寂しくなったなあ・・・
「社長、ハッピープロジェクトの代表からお電話です。」
井上さんの声がする。
「わかった。」
タイミングのいい電話だな。
「代表、どうも。」
「こちらこそ、いつもお世話になっております。」
「で、今日は?」
「はい。ハッピー枠の確認です。あと何人ほど必要ですか?」
「そうだなあ・・・少なくてもあと一人、出来れば東京付近の出身の方がいれば。新女の東京が手ごわいので、増強したいですね。」
と私。
ハッピー枠は人気的に弱い部分を増強する意味もある。
基本的にはNEW WINDを体験してもらうことで女子プロレスを盛り上げるという意図のもとにやっているのだが。
「東京ですか・・・それでしたら、私が参戦いたしましょうか?他にも候補はいますけど。」
「ほう・・・代表がですか。それは構いませんがブランクがありますよね?」
「ええ。確かに。ハッピープロジェクトを立ち上げてからは一度も実戦はやっていませんからね。でも、だからこそ話題になると思いますよ。そういう話題づくりは風間社長お好きでしょう?」
確かに好きだ。
「さすがよくわかっていらっしゃる。準備期間はあまりないですが、来月から参戦していただけますか?」
「出資者は無理難題をおっしゃる・・・わね。わかりました。プロジェクトの方は一旦別のものに預けます。これは私自身望んでいた事ですから。」
こうしてハッピー枠でハッピープロジェクト代表自らの参戦が決定。
◆NEW WIND 12月シリーズ 最終戦新日本ドーム大会◆
草薙みこと引退記念興行“ありがとう”
☆スペシャルシングルマッチ”王者への道”☆
スーパーカオス(WWCA)VS ハイブリット南(6期)
☆セミファイナル 新世代チャレンジマッチ☆
永沢舞(4期)VSスイレン草薙(8期)
☆ダブルメインイベント第1試合☆
草薙みこと引退試合”最強巫女伝説最終章”60分1本勝負
草薙みこと VS X (ハッピープロジェクト選抜選手)
☆ダブルメインイベント第2試合☆
MAX WINDヘビー級女王戦 60分1本勝負
”女王”結城千種 VS 吉田龍子 ”挑戦者”
頑張ってくれたみことへの感謝をこめた大会名”ありがとう”。
今年4度目の引退興行か・・・私はとても寂しい気持ちになっていた。
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注1=ゲーム内では2度目の空き巣イベントが発生してます。
時期的に”ハッピープロジェクト設立資金”として使ったと解釈しました。
”金庫にそんな大金置いてるわけないだろう!”
という突っ込みをしておきます。
☆プチ解説☆
えー、この原稿の草稿を作ったのは実は1月頭くらいだったんです。
その時はまだ 中江里奈の出身団体は”東北女子(仮)”だったのですが、発表待ちの間に”応援ぺえじ”さんでちょうど東北ローカルの団体リプレイが始まったので、お名前拝借しました。
鷹羽シンさんいつも楽しませていただいております。
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*選抜選手