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2024/11/25 14:24 |
”伊達とカンナ” その58
NEW WIND社長 風間 新 手記より。


※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
 ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
 それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。

「うーん・・・」
 最近すっかり定番になったマッチメイクでの私の悩みから今月もまたはじまる。
「やはり自団体のベルトに絞った方がよいのではないかと。」
とダンディ須永氏。
「社長、僭越ながら私もそう思いますけれど。」
 マッチメイクに加わっているわけではないが、秘書という事で私のそばに控えてくれている井上さんも同情交じりに呟く。
「そうなんだけどね・・・宿舎の拡張計画もあるし、こないだ設備投資もしたし・・・そろそろ大日本テレビが契約を検討したいと言ってきてくれてるし・・・物入りなんだよな。」
 
 ◇6年目9月◇
 
 今月はEWAからタッグ王座防衛指令がきたので武藤と結城が遠征する事に。
 こう毎月毎月遠征続きではマッチメイクは厳しくなるよ。

 それに永沢も回復途上に無理して練習するからまた悪化してしまい今月も欠場。
 12人のうち毎月2~4人欠け続けるのは・・・ね。

 WWCAから毎月のようにカオスとコーディが来日してくれるのと、”ミス・ブロッコリー”イザベラ・スミスの会場人気のおかげで何とかなっているもののこのままでは厳しいよなあ。
「で、今月はどうするのかしら?カンナとみことがいるから防衛戦は組めるけど。」
「どう・・・するの?」
 南と伊達がほぼ同時に私の顔を見る。
もし今月防衛戦をやるとしたら、伊達&南か、ジューシーペアしか挑戦できるチームはない。
 ジューシーペアでは勝てる見込みはかなり低いし、盛り上がりには欠けてしまうだろう。
 とすれば伊達&南しかない・・・のだが・・・
「挑戦するか?」
 私はちょっと卑怯だなと思いつつ、決定権を当事者でもある二人に委ねる。
「私は構わないわ。遥となら安心して試合が出来るから。」
「やってもいい・・・よ。」
 なんだか消去法で決まってしまったような部分はあるけど、AACタッグへの挑戦は決定。
 その前哨戦として第1戦と第3戦で6人タッグを組んでみることにする。
 ここで南か伊達が勝利を奪ってくれれば弾みはつくし、話題性もアップするだろう・・・という期待を込めてね。

 吉田とハイブリットに先輩への挑戦という試練を与え、伊達VSカンナにスポットを当てたカードをメインで構成。
 セミではカオスに頑張ってもらう。

 という構成で9月興行はスタート。

 ”龍子 登竜門ロード”
とタイトルはつけたものの実質先月と一緒。
 違いはシングル5番勝負としてコーディとカオスを加えたくらいかな。
一ヶ月で劇的に変わることもなく、先月よりは善戦したもののあっさり5敗。
 5期生VS1期生+トップ外人二人ではまだまだ大きな差があると言う事なんだろうか。
 吉田の奮起に期待する。

 ハイブリットはWWCAの若手・中堅クラスを相手にシングル連戦。
アリッサとは3戦して2勝1敗と、確実に成長しているようだ。
 だけどこのクラスの外人選手には勝てるようにならないとNEW WINDでは先輩の影にも触れられないレベルでしかない。
 ハイブリットにももっと頑張ってもらわないとね。

 伊達&南、カンナ&みことの6人タッグ戦はお互いに譲らず1勝1敗。
第1戦で伊達がみことを沈めれば、第3戦ではカンナが南を撃沈。
 チームとしての実力はほぼ互角とみていいだろう。

 これはAACタッグ戦が楽しみになりそうだ。
    
☆AACタッグ選手権☆

 このメンバー構成ならハイスパートレスリングとは無縁。
じっくりとしたペースながら徐々に盛り上げ、相手の攻撃を受け切って反撃。
 華麗なきり返しを見せるかと思えば、意地の張り手合戦なども入れた魅せる熱い攻防が繰り広げられていく。
 お互いの得意技を出し切ったあとはチームとしての連携が勝負の分かれ目となった。

 伊達を場外へ落しておいて、みことが南を草薙流竜巻兜落しでたたきつけ、それを引き起こしたカンナがエクスプロイダーへと繋ぎ3カウント。
 50分を超える激闘に終止符を打った。

 伊達&南はあと一歩まで追い詰めながらも現王者組のタッグチームとしての強さを思い知らされる形となってしまった。

「伊達! これが私の力だ!」
勝ち誇るカンナ。
「・・・シングルで受けろ!」
伊達はシンプルにタイトル戦を要求する。
「異存はない。最終戦で受けてやる。・・・伊達、一つだけ言っておくが。お前に勝機はない!」

 ということで急遽決定!
最終戦はカンナVS伊達のWWCAヘビー戦。

☆WWCAヘビー☆

 勝機はないといったカンナだったが、勝機がなかったのはカンナの方だったか。
 序盤・中盤は完全にカンナペースで、関節地獄にはまり伊達は腕足ともに大ダメージを受け、確実にパフェーマンスが落ちた。
 だが、ここからの伊達が凄かった。
バックドロップ2連発でカンナの動きを止め流れを変えると、”暴れん坊なヒザ”が顎へ腹部へハードヒット。
 中盤までの足殺しの効果がまったくなかったか・・・と感じるほど重い一撃だった。    
 いつもならここで”不死鳥の閃光”が走る所だが、伊達はあえてそれを使わない。
 それどころかフェニックスシリーズを使うそぶりすら見せず、伊達はロープへと走る。
「勝機! 見逃すわけにはいかない!!」
 ここで伊達が決めたのは体重の乗り、気合の込め方・・・どれをとっても見事な、”極上のラリアート”だった。
 多分伊達がこの輝きのあるラリアートを使う事はないんじゃないか・・・と思える極上の一撃はカンナの意識・抵抗力を根こそぎ奪った。

 ”インパクトの瞬間、鳳凰が羽ばたいたのが見えた”とガールズ・ゴングのO坂記者は後に評していたらしい。
 
×カンナ神威(27分39秒 ”鳳凰の羽ばたき”ラリアート→体固め)伊達遥○
 
 伊達は・・・
「(ラリアートの瞬間は)夢中で覚えていなかったけど・・・凄い手応えがあったのは・・・覚えてるの。」
 とコメントを残している。
伊達が普段使うラリアートとは全てにおいて違う極上の一撃。
 多分”会心の一撃”、”クリティカルヒット”という類の一撃だったと思う。(カンナからすれば”痛恨の一撃”だったろうけど。)

 カンナは4度目の防衛に失敗。
伊達は久しぶりのシングル王座獲得。

 伊達とカンナの試合はいつも熱い。
この二人がうちの所属選手である事に感謝したい。

 ありがとう二人とも。
いい試合を見せてくれて。

 

↓こちらから管理人にメッセージを送ることができます。


 





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2006/11/25 17:56 | Comments(0) | NEW WIND編

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