「栄光のスターロード」
NEW WIND社長 風間 新 手記2より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
NEW WIND社長 風間 新 手記2より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
◇13年目1月◇
相羽が返上したミドル・ウインド王座の第3代王者決定戦を開催する。
対戦カードは既報どおりの『ハイブリット南VS白石なぎさ』
ハイブリットはいまだシングルの戴冠暦はないが、これは本人の実力ではなく、環境の変化によるところが大きい。
以前のNEW WINDには『EWA認定世界ヘビー級』と『WWCA認定世界ヘビー級』の2本のシングルのベルトがあり、タッグもAAC&WWCA&IWWFの3王座があったのだが、ハイブリットが上位戦線に加わってきた頃から数を削減、シングルはEWAタッグはAACのみに絞られ、その二つのベルトも、『MAX WIND』ブランド創設とともに姿を消した。
この影響をまともに受けたのがハイブリットで、シングル王座挑戦のチャンスが激減することになってしまった。実力では海外トップ3(IWWF・WWCA・TWWA)王者に引けはとらなかったのだが。
後に『MAX WIND』への足がかりとして、『ミドル・ウインド』が創設されたが、これは若手の目標となる位置づけだったために、ハイブリットには縁がなかったのだ。
「シングル王者になる最後の機会ね。・・・同情されるようになるなんて、私も落ちたものね。」
「・・・」
「まあいいわ。今出来る完璧な仕事をして見せるわよ。もう私が現役でいられる時間もあまりないとは思うけど、姉さんのように最後まで輝くレスラーでいたいから。」
「ありがとう寿美。たぶんコレが最初で最後のミドル挑戦になると思う。勝っても負けても悔いのない試合をしてくれ。」
との私の言葉に対しハイブリットは「・・・負けないわ。」とだけ答えた。
その言葉通り試合は完全なハイブリットペース。
団体No1のなぎさのナチュラルパワーを上手くいなし、団体No1の関節の鋭さでなぎさのスタミナを、戦意を奪っていく。
「この技に耐えられるかしら?」
リング中央での必殺のネオ・サザンクロスロック。
「・・・耐えられないの・・・」
『ミドル・ウインド王者決定戦』
○ハイブリット南(39分4秒 ネオ・サザンクロスロック)白石なぎさ×
※ハイブリット南が第3代王者に。
関節の切れはいささかも衰えてはいないが、それ以外の要素は全盛期と比べるとかなり落ちてきているなあ。
それでもここに来て成長が著しいなぎさからの勝利は、大きな意味を持っている。
「ベテランの意地よ。私だってこのまま終わるつもりはなかったから。」
ハイブリットはそういってニコッと笑った。
もともと似てはいたが、姉の利美によく似てきたよな。たまにドキッとする事があるよ。
☆MAX WIND女王戦☆
「どうした相羽!この程度か?」
大の字にダウンしている相羽を吉田が見下ろしている。
今日の吉田は、いい試合なんて考えていないのだろう。序盤からフルスロットルで飛ばし、短期決戦狙いだ。
ゴング直後のラリアートから始まって、ランニングエルボー、ラリアート、ランニングエルボーと豪快に連続で叩きこみ相羽の出鼻を挫くと、相羽のコブラツイストを腰投げで振りほどき、鬼の形相でラリアートを3連発。
これは全部相羽が切り返してみせたが、吉田は止まらない。
身長を生かしたハイアングルボディスム。
客席がどよめくド迫力だったが、相羽はすくっと起き上がり逆襲のDDT。
だが食らった吉田も何事もなかったかのように立ち上がると、ショートレンジラリアート。
これをダウンせずに耐えた相羽はスターライトチョップを吉田の後頭部に叩き込む。
だがしかし、吉田は止まらない。
豪快なジャンピングニーで相羽を吹き飛ばし、ダウンした相羽を無理やり引き起こすと、タイガードライバー! これをカウント2.5でクリアした相羽だが起き上がることができない。
そこで冒頭の吉田の叫びにつながるわけだ。
「ここで終わりか、相羽!お前の実力はこの程度か?」
吉田は相羽の髪をわしづかみにして引き起こすと、垂直落下のブレーンバスター!
角度のエグさに場内から悲鳴。
「ま、まだっ!」
相羽はまたもすくっと起き上がると、垂直落下のDDTでお返し。
ダウンする両者。
「OK、ダウ~ン!」
トニー館がダウンカウントを取り始める。
「ダウン、3!」
「ダウンカウント3!」
仲間リングアナが一緒にカウントをとりはじめる。
「4!」
「4!」
「5!」
「5!」
「6!」
「6!」
まだ両者動かない。
「7!」
「7!」
ようやく動き始める両者。
「8!」
「8!」
両者立ち上がる。
場内から両者に歓声。
「9!」
「9!」
なんとか立ちあがった両者、ここでファイティングポーズを獲る。
「OK!」
トニーの声が響く。
ここで場内から大きな拍手。
「相羽!攻めろ!」「吉田!やれっ!」声援が交錯する。
ダウンカウントは両者取られていたものの、蓄積ダメージでは相羽の方が大きい。
なんとなくだが、吉田はギリギリまで休んでいたような気がする。
「これでフィニッシュだ!」
龍が吼え、稲光が走る。
プラズマサンダースライド!
吉田のフィニッシュが完璧に決まり、相羽の動きが止まった。
「17分54秒 プラズマサンダースライドからのエビ固めで勝者、吉田龍子!」
女王吉田龍子7度目の防衛に成功。
「結城さんの防衛回数は意識していました。結城さんはEWA王座も6回防衛していますし、単純に並んだとは思っていません。次の目標ですか?“記録更新”ですね。今は一戦一戦を大事にしていきたいと思っています。」
吉田の自らの衰えを意識しての短期決戦に、意地を感じた。
まだパワーは現役トップクラスなのだから、あれだけの攻撃を短時間で食らってしまっては、挑戦者がペースを握れなかったのも仕方のないことか。
敗れた相羽は控え室で号泣。
「力不足でした・・・今度こそ勝てるって思っていたのに・・・」
「ベテランの上手さにやられたな。」
「はい・・・」
「それと『勝てる』じゃ勝てないな。吉田は『勝てる』相手じゃない。倒す!『勝つ』という思いがないと勝つことはできない。」
「・・・勝てるじゃなくて、勝つ・・・ですか。」
「ああ。以前も誰かに言った事があるけど、とかく日本人は『勝ちたいです』とか『次もいいピッチングをしたいです』のように、希望を口にする。そうではなく、言い切らないと思いは実現しない。」
「はい、絶対に勝って、『ボク』は女王になります!」
「・・・相羽、女王になれない理由がわかったぞ。」
「?」
「自分の事をボクっていう女王はいない!」
「があ~ん・・・」
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偶然にも今日(正確には昨日か)アップしたおいらの最新話で北条さんに同じような事を言わせております。
女王になるための決意というか、勝つと強烈に意識することが重要なのではと思います。
相羽ちゃん頑張れU>ω<)ノ
でも1人称は「ボク」でいいぞぉww