NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
◇7年目7月◇
カンナと武藤が負傷、南の映画出演(なにやらシャイクスピアのパロディらしい。)、ラッキーと南の一日署長など興行を行うには難しい状況になったのと、激闘続きの選手たちのケア(ケガ防止)の意味を込めて我々は南の島へと飛び立った。
私も日ごろの疲れをとるべくのんびりとすごしている。
南の島でみる選手たちの水着姿は結構新鮮で、少々目のやり場に困ったりもするのだが・・・
「社長・・・泳がないのですか?」
とカンナ。
さすがにマスクは外しているがサングラスを装備して顔は隠している。
「ああ・・・ちょっと疲れていてな。折角だからのんびりさせてもらおうかと。」
「年・・・ですね。」
「うるさいよ。皆が海で遊んでいる時間以外は休めないんだから仕方ないだろう。」
そう私はそれ以外の時間は買い物に付き合わされたり、食事をおごらされたりと各自に引っ張りまわされている。
そもそも何故女子というのはあんなに買い物が好きなのだろうか。
ほっとけば一日中買い物をしていてもおかしくないぞ。
「そうですか。社長、気分転換にあの島まで泳いでみません?」
カンナは海の向こうに見える小島を指差す。
確か2,3kmは離れているんじゃなかったか?
「ま、泳げなくはないが・・・」
「じゃ行きましょう。」
カンナはグイグイと私の腕を引っ張る。
・・・結局休めない私(泣き)
カンナはいつの間にかサングラスから色付きのゴーグルに装備変更していた。
”蒸着!”
って感じの早業だな・・・
「よ、ようやくついたな・・・カンナ。」
島の入江にたどり着いた私は、思ったよりも距離があった事もありかなりバテバテだ。
「は。はい。結構きつい距離だったですね。」
「どうしたカンナ、何かあったのか?」
「み、みない・・」
カンナが見ないでといったらしいが、私はその時にはカンナの方を振り向いていた。
水着が取れるハプニングではなく、カンナはゴーグルを上に上げていた
ので、私は初めてカンナの素顔を見た。
”泳ぎ着いた入江の奥”で見たものは・・・人魚?
「き、綺麗な顔立ちだな・・・」
「見、見ましたね・・・社長。」
カンナから殺気が立ち上るのが見える。
「見たからには他言無用・・・念のため他の人に喋ったらどうなるかということを体で覚えてもらいましょうか。」
カンナの右手に気が充満して黄金色に輝いているのが見えた。
「私のこの手が黄金に燃える!
貴方を倒せと、知性の神が私にささやく!!
食らいなさい! 必殺!
神威(ゴッド)フィンガー!!!」
カンナの右手が私に向かって伸びてきた・・・
「うわあああああっつ!!!!」
私は思いっきり叫び声を上げる。
「社長、どうしたのよ?」
南の声がする。
「あ、あれ??」
私はキョロキョロと辺りを見まわす。
・・・ここは私がいたもとのパラソルの下だ。
「ずいぶんうなされていたみたいだけど、どうかしたの?」
南が心配そうに私の顔を覗き込む。
夕日をバックにした南の表情はとても美しく思えた。
「き、きれいだ・・・」
「ば、ばか!何を突然!!」
私は口に出してしまっていたらしい。
「あ、いや夕日が綺麗だな・・・と。」
「こ、この紛らわしいこといわないでよ!!」
「ぶべえっ!」
南・・・それ本気の裏拳・・・
「あっ!ご、ごめんなさい!」
私は再び意識を失った。
「チッ折角人が目が覚めた時に最初に見た奴に惚れちまう塗り薬を塗っておいてやったのに。台無しにしやがって。」
私に向かってピエロのような男?が話しかけてくる。
「もう少し意識があれば、確実だったのによう。このパック様に無駄足をふませるたあ、ふてえ野郎だ。」
「な、なんだ貴様・・・」
「貴様だとお?俺様は”パックさま”だ。オーベロン様の忠実なる僕。」
「???」
「ああ、頭も悪いのか。まったくオーベロンさまもどこでどう間違って
こんな奴にそんな事しろって言ったのやらな。ライサンダーとかディミートリアスの方がよっぽどいい男だと思うがねえ。こいつ平民だし。」
そりゃ貴族に比べれば平民だよ私は。
「まあ、いいや。多少なりとも効果はあったはず。お前は・・・不思議な恋草の影響を受けているはずだからな。」
「パーック!!パーック!!!」
「おっとオーベロンさまがお呼びだ。じゃあな平民の兄ちゃん。」
「ま、まてー!!」
私は右手を必死に伸ばして叫ぶ。
「ちょっと・・・待つのは社長じゃないの?」
気づけば右手に柔らかい感触が・・・
「嫁入り前の娘にそんな事をするなんて・・・社長ひどいわ。責任はとってもらうわよ。」
「ちょっと待てえ。腕を掴んだだけ・・・」
そう柔らかいものとは、もっとゴツゴツしているかと思った南の左の二の腕でした。
だ、誰だ変なことを想像した奴は。
この手記は全年齢対応だぞ!!
「冗談よ。」
悪戯っぽく笑った南の笑顔はいつもより可愛く見えた。
「疲れてるんだなきっと・・・あれ・・・」
私は左右の頬に痛みを覚えた。
「どうしたの?」
「南、さっきさ、裏拳入れたよな?」
私は右頬をさすりながら尋ねる。
「あ、ご・ごめんなさい。」
「あ、別に謝らなくていいよ。怒ってはいないから。」
「そ、そう?」
南の表情に安堵の色が浮かぶ。
「あれって右の裏拳だったから・・・右頬が痛いのはわかるんだけど・・・左頬が痛いのはなんでだ?」
「えっ!?私は裏拳”しか”入れてないけど。」
「”しか”ってなんだ”しか”って。」
「コンボいきそうになったのは確かだけど。でも左はやってないわよ。」
私はキョロキョロと辺りを見回す。
遠くにカンナがいる。
そのカンナと目があった時、カンナがニヤリと笑い右の掌をこちらへ向けた。
その掌がキラリと輝いたのを見て私の中を恐怖が走り抜けた。
「う、うーん・・・」
今日何回目だろう・・・私はまた気を失った。
「あ、しゃ、社長?」
「おやおや、どうしたのかな社長は。」
「か、カンナさん、あなた社長に何かしたの?」
「いや別になにも。いまだってこれを見せたかっただけなんだけどな。」
「あら綺麗な貝殻ね。」
「なかなかないだろう。ちょっと嬉しくなったから自然と笑顔になったんだよね。」
カンナの掌には大きな、そして綺麗な貝殻が乗っていたという。
どこまでが夢でどこまでが現実なんだろう・・・
夏の夜の夢のようなバカンスはこうして終わりを迎える事になったのだった。
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☆マメ解説☆
夏の夜の夢=真夏の夜の夢とも。シェイクスピアの喜劇です。
最近南の話中心で真面目になりがちなんで、今回は完全にギャグ路線ですし。タイトルにあっているかなと自己満足中(爆)
神威(ゴッド)フィンガー=元ネタはある種そのままです(笑)
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