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2024/11/29 09:48 |
”感じるもの” その62
NEW WIND社長 風間 新 手記より。

 ※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
 ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
 それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。




 ☆公式リーグ戦5日目☆

 本日のリーグ戦オープニングマッチは 伊達VSカオス。
ともに3勝1敗同士の対戦とあって、試合前から両者気合十分。
 主導権を握ったのは、今回のリーグ戦で輝きが増したカオス。
序盤からダークスター・ハンマーを連発し、伊達の体力を削っていく。  伊達はエルボーで反撃の糸口をつかみ、得意の”暴れん坊なヒザ”へとつなげ主導権を取り戻す。
 だが、伊達の流れを凌ぎきったカオスは、再びダークスター・ハンマーで流れを引き戻す事に成功する。
 カウント2.8でダークスター・ハンマーをクリアした伊達は早くも必殺技シャイニングフェニックス! 強引に流れを取り戻そうとするが、
やや強引すぎたか。
 結果的に早仕掛となり、カオスはふらふらするが倒れない。
伊達はふらつくカオスを担ぎ上げるとデスバレーボムへとつなげる。
 ここでようやくカバーするが2.5でクリアするカオス、このシリーズでの好調ぶりは目を見張るものがある。

 カオスはまたもダークスター・ハンマー!
だが伊達は”鳳凰が羽ばたかないバージョン”のラリアートで切り返す。
 しかしこれはカオスの逆鱗に触れたようだ。
鬼の形相でフォールを跳ね除けると、スコーピオンデスロックで伊達の力の源であるヒザを破壊しにいく。
 カオスは体重をしっかり乗せているので伊達はなかなか動けない。
「伊達!伊達!」
セコンドの吉田がエプロンマットをバンバン叩いて檄をとばす。
 かなりの時間をかけてロープへとエスケープした伊達に場内からは拍手が巻き起こる。
 セコンドの吉田もほっとした表情を浮かべていたのだが・・・

 カオスの目が怪しく光る。
ようやくロープへとたどりついた伊達をあざ笑うかのようにカオスは力でリング中央へと引き戻す。
 再びどっかりと腰を落しスコーピオンデスロック。
伊達が再び呻き声を上げるが、ここでギブアップしないのが伊達。
 今度もロープへと必死に這い、今度こそエスケープに成功。
だがカオスはそれすら折込済みだった。
 ようやくロープをつたって立ち上がった伊達にダークスター・ハンマーで突進していく。

「くっ!」
伊達は両腕でブロックしようとするが、カオスは伊達の前で突進をやめる。
 カオスはニヤリと笑うと、高速のバックスピンブローを伊達の右側頭部へと叩き込む。
 崩れ落ちる伊達。
「伊達!ロープこっち!!」
セコンドの吉田がロープエスケープを指示するが、カオスは抜け目がない。

 伊達の長い足がロープへと届くと判断するや、エビ固めでフォール。
体固めや片エビならロープへ足を伸ばして逃げることもできたのだが・・・これでは・・・

×伊達”3勝2敗”(22分27秒 バックスピンブロー→エビ固め)カオス”4勝1敗”○  

☆公式リーグ戦 5日目試合結果☆
○武藤”2勝3敗”(15分14秒 ダブルスピンムーンサルト)みこと(2勝3敗)×

○カンナ”4勝1敗”(13分29秒 ダイビングヘッドバット→体固め)南”1勝4敗”×
 
○結城”4勝1敗”(9分19秒 ケンカキック→体固め)永沢”5敗”×

 5日目は伊達VSカオス以外は順当な結果に終わる。
今となっては3期生武藤が2期生のみことに勝ってもニュースにはならないし、”当然”という見方をされてしまう。
 これは南(1期生)とカンナ(2期生)も同じ。
先輩だから強いという図式はプロレスのリングには通用しない。
 願わくば先輩たちに強くあって欲しいけど、それは難しいよね。

☆公式リーグ戦6日目☆

 すでに2敗と優勝戦線から離脱しかけている伊達はみことと対決。
みことの投げ技の前に大苦戦をしいられた伊達だったが、最後は切り札、フェニックススプラッシュでみことに勝利する。

○伊達”4勝2敗”(19分38秒 フェニックススプラッシュ)みこと”2勝4敗”×

「さすが遥さんですね。勝てたと思ったのですが・・・」
「バランスにやられたか?」
「そうですね、遥さんって関節の防御がすごくヘタなところを除けばバランス取れてますから。引き出しの多さでは敵いませんよ。ようは私の修行不足ですね。」


○カンナ”5勝1敗”(10分59秒 エクスプロイダー→体固め)永沢”6敗”×

 カンナが難なく永沢を下して1敗を死守。

○武藤”3勝3敗”(14分24秒 フライングニールキック→体固め)カオス”4勝2敗”×

 武藤はリーグ戦中盤から調子を取り戻し、ようやく五分の星に戻すことができた。
 カオスとしては優勝戦線から一歩後退となる痛い敗戦となった。

○結城”5勝1敗”(13分15秒 ランニングスリー→体固め)南”1勝5敗”×

 食い下がる南へと止めを刺したのは、結城の”奥の奥の手”であるランニングスリ-。
 コーナー付近で南を左肩にかつぎあげた結城は、右手でリング中央を指し示し、リング中央へと走りこみ南をマットに強烈に叩きつけ1敗を守った。

5勝1敗=結城、カンナ
4勝2敗=伊達、カオス
 となり最終日の結城VSカンナの結果で優勝が決まるというとても分かりやすい状況で最終日へと突入する。

☆最終日☆

○カオス”5勝2敗”(13分30秒 ダークスター・ハンマー→体固め)みこと”2勝5敗”×

○伊達”5勝2敗”(11分32秒 シャイニングフェニックス→体固め)南”1勝6敗”×

○武藤”4勝3敗”(11分59秒 ダブルスピンムーンサルト)永沢”7敗”×

 
☆イシュタル・インパクト 公式リーグ戦ファイナルマッチ☆

「たああ!!」
 結城のバックドロップが鮮やかに決まる。
「カバー!」
結城が必死の形相でカンナを押さえこむ。

 レフェリーのトニー館はマットに両肩がついているのを確認するとカウントに入る。

「1!」
  
 場内では観客が手と声を使ってカウントを数える。

「カンナさん!!」セコンドのみことが両手でマットを叩いてカンナに必死の声援を送っている。

「2!!」
「カンナ! カンナ!!」

 カウントを数える声と悲鳴にも似たカンナコールが入り混じる。

「返せ!カンナ!!」
  
 だがこの声にカンナが応えることはできなかった。

「・・・3!!」
  
 トニー館の右手が3度目のマットを叩いた時、場内では両腕を突き上げて立ち上がる観客達と、がっくりと肩を落す観客達と大きく明暗がわかれていた。
 
「15分29秒、15分29秒! バックドロップからの片エビ固めで、勝者 結城千種!! イシュタル・インパクト優勝者は結城千種選手に決定いたしました~!!」

 
◇イシュタル・インパクト最終結果◇

優 勝6-1 結城 千種
準優勝5-2 ダークスター・カオス
3 位5-2 カンナ神威
4 位5-2 伊達 遥
5 位4-3 武藤 めぐみ
6 位2-5 草薙 みこと
7 位1-6 南 利美
8 位0-7 永沢 舞            
 
 ※同点の場合は直接対決の結果により順位を決定。

▲選手コメント▲

○永沢舞
「一つも勝てないって事は力不足だと感じました。今回の経験を糧にファイト!ファイトです。」

○南利美
「悔しいけどこれが現実です。」

○草薙みこと
「修行の成果をお見せする予定でしたけど、修行不足でしたね。」

○武藤めぐみ
「勝ち越しは出来たけど。あの子に出来るんだから私にも出来るはず。次はもっといい結果を出します。」

○伊達遥
「もっと・・・頑張らないと・・・って。 選手としてもコーチとしても・・・」

○カンナ神威
「ノーコメント」

○ダークスターカオス
「ノーコメント」

○結城千種
「嬉しいです。全勝できなかったのが残念ですけどね。」


◇社長総評◇

 レベルの高い試合を見せてくれたが、私の求める基準に満たない試合も多く、まだまだ上を目指せると感じた。
 これが終わりではないし、選手達にはさらに上を目指して欲しいと思っている。
 リベンジする機会も十分あるしね。
白星配給係になってしまった3人には頑張ってもらいたいし、あの3人に代わって出場する選手が出てくるようだと団体としても面白いよね。
 
◇大会終了後◇

「社長、私はちょっと自分が情けないわ。」
「南?」
「私が一流でいられる時間は少ないって言ったことあったわよね?」
「ああ、今年1年・・・せいぜいもって来年春までだと思うって奴だね。」
南は寂しそうに笑うと・・・
「・・・私はもう1流ではないのかもしれないわ。」
「!?」
「社長もそう思わない?リーグ戦でたった1勝・・・それも3年後輩の舞に勝っただけなんて、とてもじゃないけど1流とは言えないわ。」
 私は言葉に詰まった。
「肯定と受け取ってよいかしら?」
「そんな事はない。」
「そう。私は今年の春、妹がデビューしたあたりから感じていたことがあったの。」
私は黙って続きを促す。
「それは・・・成長しない自分に。技のキレとかは落ちてないし、体力的にも落ちてはいないわ。だけど、いくら練習しても・・・維持する事しかできないてない・・・」
「南・・・」
「私は現状維持をするのが精一杯なのに、他の子たちはずっと成長しているわ。その差が・・・」
「今回の結果か。」
「ええ。今はまだ・・・維持しているという自覚があるけどいつまでそれが出来るか。最近少しづつだけど自分のイメージとズレが出始めている気がするわ。」
「いや見ている限りは大丈夫だと思う。南は決して落ちていない。 ただ追い抜かれただけだ。」
 私の言葉に南は笑い出す。
「あっははは。それで人を励ましているつもり?落ち込んでいる人に止めを刺すようなことを簡単にいってくれるわね。」
「ふん。慰めを言っても聞くとは思えないしね。」
「ありがとう。そっか追い抜かれたか・・・」
「南は1流のレスラーだよ。決してへなちょこでも2流でもない。NEW WINDに1流レスラー南利美あり。 これは女子プロレス関係者、マスコミ、ファン・・・みんが知ってる事だよ。」

「私まだ・・・大丈夫よね?」
「当たり前ですよ、南さん。元気を出してください。まだまだやれますから。」
「はあ、何そのセリフ。」
南は呆れ顔である。
「うん?昔読んだプロレス団体経営マニュアルって本に書いてあったんだよ。”スーパレッスルなんとか”って本だっかな。これをいうとかなりの確率で元気になる魔法の言葉だって。」
私は真面目に答える。
「あっはっはは、社長も馬鹿ね。そんな怪しい本を真に受けたのね?」
「うるさいなあ。」
「・・・でも間違ってないかもね。笑ったら元気になったわ。」
「おおそうか。やっぱり利くだろう?」
「でもね、社長・・・1流を維持できるのはもう少しだけよ。」
そういって微笑みを浮かべ、南は控え室へと戻っていった。
「南・・・」


 南の表情から判断してそれは事実なんだろうな。
1流でなくなった南は・・・たぶん引退を選ぶだろう・・・

「社長、ちょっといいですか?」
珍しく武藤が私に声をかけてきた。
「あ、ああ。」
「南さんのことなんですけど・・・」
「試合をしてて何か感じたか?」
「はい。言いにくいんですけど、イメージと差が出てるかなって・・・」
「・・・!?やっぱり。」
「はい。社長も気づかれましたか。」
「うん、なんとなくね。いくら武藤たちが強くなったとはいえ、それだけじゃないような気がしてたんだよ。」
「そうなんですよね。ちょっとした違いなんですけど、打撃が来るのが遅かったり、ガードが遅かったり・・・たぶんコンマ何秒かのずれだと思うんですけど。」
「そうか。ありがとう、武藤。」
「いえ・・・私、南さんの事レスラーとして好きなんです。だからその・・・黙っていられなくて。」
 武藤はちょっとはにかみながら言う。
こいつ時々可愛い顔するよな、普段は小生意気だけど。
「武藤、南からたくさん学んでおけよ。いまや実力では武藤が上かもしれないけど、南の引き出しの豊富さ。戦略なんかは武藤の遥か上だからな。」
「はい。分かってます。」
ほらね、生意気だよ。 

 最強決定リーグ戦イシュタル・インパクトは幕を閉じ、今年の興行は全て終了。
 ま、今年は年内にもう一仕事してもらうんだけどね。    
  
 
↓こちらから管理人にメッセージを送ることができます。


 




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2006/11/30 18:54 | Comments(0) | NEW WIND編

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