NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
◇9年目1月◇
昨年末は氷室の引退興行の為報告が出来なかったので、まずは
昨年の女子プロレス大賞の結果から。
M V P =結城千種(2年ぶり3度目)
新 人 王 =ジーニアス武藤(NEW WIND所属は8年連続受賞)
ベストバウト=結城千種VSカンナ神威(4年連続同カードで受賞)
ベストタッグバウト=結城&カンナVS武藤&吉田
結城は2年ぶり3度目のMVP受賞。
唯一のライバルだったカンナに衰えが見えた今、結城が不動のエースだろう。
新人賞はスターライト相羽とジーニアス武藤の一騎打ちとなったが、僅差でジーニアスが受賞。
相羽には残念な結果だったが、新人賞が全てではないから二人にはこの先もっと上を目指してもらいたい。
ところで、ベストバウト部門の“結城VSカンナ”はなんと”4年連続”の受賞となる。
これはとても凄い記録だし、これを破るカードはもう出ないのではないだろうか。
そしてカンナ個人はなんとなんと“6年連続”のベストバウト受賞であり、タッグ部門にいたってはなななんと(ちょっとしつこいか・・・)“7年連続”だ。
これは驚異としかいいようがない。
カンナのキャリアは8年目。デビュー2年目の頃から好試合を連発してくれた事になる。
それにカンナは新人賞を受賞しているから、デビュー以来毎年授賞式に出席しているわけだ。うーん凄い・・・
ただ、若い頃から激闘を続けてきた反動か、最近のカンナはパフォーマンスの低下が著しい。
何度もフォールを奪ってきたダイビングヘッドバットなんて、今はただコーナーから落ちるだけで、飛距離がまるでなくなってしまっている。
受身のタイミングもだが、全体的に落ちが早く、カンナ引退の時はそう遠くないのかもしれないな。
もしかすると、伊達&マッキーの一期生より早く引退してしまうかもしれない。
これだけの実績を残す選手だ。いつまでもいて欲しいがそうも行くまい。
その時が来たら盛大に送り出してあげたいと思う。
カンナは嫌がるだろうけど。
でも、功労者カンナの希望は無視できないから、静かな興行になるかもしれないけどね。
さて、興行の方は、男子に対抗して、新日本ドーム大会からはじまる。
年明け一発目がドームでAACタッグの防衛戦がメイン。
ドーム大会はばるべく控えようと思っているのだけど、ドーム側から打診を受けたり、大日本TVさんの番組編成の都合などの話をされると断れない(苦笑)うちは弱い立場だから。
おかげで興行ローテーションがガタガタに・・・
最近は福岡+3都物語+関東(栃木のぞく)+宮城・秋田・西北海道だけで手一杯になってしまっている。
この地域は基本的に新女人気の高い地域でもあるので、興行戦争になりがち。
毎月どこかで新女と日程がバッティングしていたりするので、女子プロレスファンの方には迷惑をかけていると思う。
プロモーターとの関係もあって、全国サーキットはしばらくの間無理かもしれない・・・
なるべく合間を見て行くようにします。
行けなくなった地方の方からの興行スケジュールの問い合わせがあったりすると、心が痛む。
あちらを立てればこちらが立たず。
”古女房を捨てて愛人を作る時”って罪悪感を感じないのかな・・・私には絶対無理だと思う。
NEW WINDを支えてくれたのは500人、1000人の会場でやっていたときに見てくれていたお客さんたち。
今はその恩を返せない・・・とても心苦しい。
しかしそんな私の思いとは関係なく、ドームに52499人(超満員札止め)のお客さんは集まってくれるのだった・・・
ああ・・・集まってくれたお客さんを裏切ることもできないし、困った・・・
ドームのメインは永沢&吉田“ドラゴンダンス”に結城&武藤“νジェネ”が挑戦するAACタッグ戦。
序盤から巧みなタッチワークで主導権を握ったのはνジェネ。
個々の実力でも、連携でも王者組を上回る挑戦者組は、武藤の飛び技が冴え、結城の投げが王者組のスタミナを確実に奪っていく。
ヒップアタックを決めた武藤がムーンサルト狙いでコーナーへと向かうべく背を向けた。
その瞬間ダウンしていたと思われた永沢がガバッと跳ね起き武藤のバックをとる。
「な、なんですって・・・」
武藤は振りほどこうとするが、パワーは永沢の方が上。
「へへっ・・・死んだふりですう、よ!!ドラゴンタイガー!!」
永沢必殺のドラゴンタイガー(テキーラサンライズ)が爆裂!!
武藤は急角度でマットに叩きつけられてしまう。
「ばか!めぐみ返しなさい!!」
結城はカットには入らない。
「いわれなくったってこれくらい返すわよ!!」
武藤はカウント2.5でクリア。
「お返し!」
武藤は竜虎原爆ことへなーらサンセットの体勢に入る。
何度見ても、ツンツン武藤とあの“アニマル”ポーズのギャップが・・・笑える。
だが、見ているほど甘い技ではない。
実際に数多くのレスラーがあの技でマットに沈んでいるのだから。
しかし、投げ技に関しては永沢の方が上だ。
上手くクラッチをすかし、逆水平チョップを武藤の喉元に叩きこんで動きを止め、さっと吉田とチェンジ。
「よっしゃあ!」
吉田はリングインと同時にラリアートを狙うが武藤はそれを察知。
うまくかいくぐると、ショートレンジのラリアートを逆にお見舞い。
「千種!」
「任せてめぐみっ!」
結城とチェンジ。
結城は裏投げを狙いに組み付く・・・が、吉田はそれを予期していた。
「食らえ!!」
勢いのついた結城を担ぎあげると、クイックモーションでのプラズマサンダースライド!
いつもは担ぎあげてからの溜めが爆発力の源だが、今回は逆にクイックにした分結城の受けのタイミングを外したらしい。
「やばっ!」
武藤が懸命にダッシュ。
なんと押さえ込まれている結城を踏み台にして吉田へシャイニングウイザードを決めてカット。
「私を踏み台にした?」
「ごめん千種。・・・きゃう」
なんていっている間に永沢のフライングニールキックを後頭部に受け、武藤はダウン。
永沢はその武藤を場外へ蹴落とすと結城を担ぎ上げる。
「ほら龍ちゃん、いくよ~~!!」
「OK、食らえええ!!」
吉田がコーナーから飛ぶ。ドラゴンダンス版ダブルインパクト!
「ほらカバーいって!」
「いわれなくてもカバーするって!!」
吉田は渾身の片エビ固め。
もっともそこまでしなくても完璧にカバーできているのだけど。
「36分42秒、36分42秒 ダブルインパクトからの片エビ固めで勝者、吉田龍子!!」
大激戦を制したのは永沢&吉田のドラゴンダンス。結構いいコンビになってきたなあ。
結城&武藤はVSドラゴンダンス戦に連敗となり、さすがにショックかと思えばそうでもないらしい。
「負けたのは悔しいですけど、やっとライバル出現って感じかな。楽しいですよ。」
と結城。
νジェネにとってはサイレントヴォイス(伊達&カンナ)以来のライバル出現なのだろうか。
「といってもまだまだですけど。」
と武藤。
こいつはどうしてこうなのだ?黙っていてくれれば可愛いのになあ。
だが、まだまだと余裕をかましていた武藤の顔色が変わる出来事がおきる。
それはシリーズ最終戦のメインイベントで組まれたシングルマッチ。
武藤めぐみ VS ハイブリット南。
今日も武藤は絶好調で、得意の飛び技でハイブリットを完全に翻弄し、圧倒していた。
武藤はハイブリットをパイルドライバーで叩きつけると素早くコーナーへと駆け上がる。
“ダブルスピンムーンサルトだな”と会場の誰もが思っただろう。
そしてそれが決まった時、この試合が終わる事も・・・
そして武藤は期待通りに華麗に舞う。
天女のように華麗なダブルスピンムーンサルト。
だが、その華麗さに見とれていた観客達は気づいていなかったのだ。
ダブルスピンは高く舞い、高速で回転するので威力が増す。
だが、避けられたり、反撃を受けたりすれば自分自身へのダメージとなって跳ね返ってくる。
気づいていなかった武藤と観客を待ち構えていたのは、ハイブリットのヒザ。
「グッ・・・」
武藤は腹部を押さえて悶絶する。
そして、うかつな事に腹ばいの状態になってしまった。
このパターンは引退した南の得意パターンだったよな・・・
と思った瞬間出た技はハイブリット南のネオ・サザンクロスロック。
まさに姉、南利美のムーブそのものだった。
「ぐぐう・・・」
「さすがに粘るじゃない。普通ならタップしているはずなのに。なら、これでどう?」
ハイブリットはひねりを加えながら上体を引き起こす。エグイ角度やなあ・・・
決まり具合は完璧だし、場所もほぼリング中央。
武藤は飛び技を仕掛けるときにロープに逃げられないように計算して飛ぶタイプ。飛距離に自信があるだけに・・・ね。
今回はその自信が完全に裏目に出た。
「・・・!!」
武藤の手がマットを叩く。タップしたか・・・
「14分30秒、14分30秒 ネオ・サザンクロスロックにより勝者、ハイブリット南!」
現在のNEW WINDのナンバー2である武藤がまさかのギブアップ負け。
「負けは負けよ・・・」
これは武藤のコメント。
いつも強気な武藤らしくないが、さすがに悔しかったに違いない。
「完璧な試合ではなかったけど、完璧なフィニッシュではあったと思うわ。」
とはハイブリットのコメント。
いよいよ3期生と4・5・6期の差はなくなってきたか。
◇9年目3月◇
「勝機、見逃すわけには行かない!」
伊達のシャイニングフェニックスがフェニの顔面を的確に打ち抜く。
いつもならこれで決まるところだが、フェニは余裕で返す。
「勝機を見逃すわけには行かないのはこっちだ!」
フェニの必殺フェニックスライジング(シャイニング式フェニックス遥版カカト落し)が炸裂、フェニはカバーに入る。
そして・・・
なんと、3つ入ってしまった。
これには皆呆然。
とった当の本人のフェニでさえ唖然としていた。
「えっ!??」
「13分47秒、フェニックスライジングで勝者フェニックス遥!」
アナウンスが入ってもまだ歓声も上がらない。現実を受け入れがたいのか・・・
「只今の試合は13分47秒 フェニックスライジングでフェニックス遥選手の勝利となります。」
静まる会場を懸念し、仲間リングアナが再度コールを入れる。
どよどよというざわめきが広がるのがわかる。
「ほら、貴方の勝ちよ。」
レフェリーのトニー館がフェニの腕を上げる。
ここでようやく拍手と歓声。だがフェニはどうも納得していないらしかった。
「うーん、嬉しいけど・・・実感がわかないんです。最後のライジングもそれほど手応えを感じたわけではないので・・・」とフェニ。
「・・・・」
伊達は無言。
悔しさとかそういう感情もなかったのだろうか。
少々不思議な感じのまま試合は終わってしまった。
だが7期生フェニックス遥が1期生の伊達遥を撃破したのは事実。
どうもすっきりしないが事実は事実。これが衰えなのだろうか・・・
「これで終わりにします!」
みことがスイレンの腕を前で交差させると、頭を足の間に潜らせる。
そしてそのまま肩車の要領で持ち上げると旋回しながら後方に叩きつけた。
草薙流竜巻兜落し・・・みことの必殺技である。
1! 2! ・・・・
ス・・・
スイレンはギリギリのところで肩をあげた。
「やるようになりましたね蓮さん。でも!」
みことは今度は草薙流裸絞め(変形ドラゴンスリーパー)を仕掛ける。
みことの2大フィニッシュホールドを連続で食らってはさすがに・・・ダメだろう。
だがしかしスイレンはロープへと逃げる事に成功。
「タアッ!」
スイレンは立ち上がるとみことへ手刀を叩きこむ。
おいおいそんなのじゃみことは倒れないだろうに。
だが実はこれは見せかけだった。
手刀を叩き込むと見せかけて、スイレンは間合いを詰め、みことの懐をとったのだ。
「貰いました。」
スレインはみことの足を掴んで担ぎ上げる・・・この体勢から繰り出させる技は一つだけだ。
スイレンの必殺技”草薙流阿修羅退治”阿修羅でも倒せるという草薙流の秘奥技。
最近ますます破壊力が増しているこの技を受けてはさすがのみことも危ない。
スイレンがカバーに行くと、場内は異様な興奮につつまれた。
1! 2! ・・・
3!!
「14分32秒 草薙流阿修羅退治からの体固めで勝者、スイレン草薙!!」
ビッグサプライズ!
まさかみことが負けるとは・・・スイレン草薙恐るべし・・・
「蓮さん・・・やるようになりましたね。これからも修行に精進なさい。まだまだ上はいますから。」
「はい。」
スイレンとみことはお互いに正座すると丁寧なお辞儀をする。
この二人の間には憎しみなどという感情はないのだろう。
じつにさわやかな試合だった。
新旧交代の波が激しくなるNEW WIND。
まもなく10度目の春が訪れようとしていた。
↓ご意見・ご感想などはこちらからどうぞ。
昨年末は氷室の引退興行の為報告が出来なかったので、まずは
昨年の女子プロレス大賞の結果から。
M V P =結城千種(2年ぶり3度目)
新 人 王 =ジーニアス武藤(NEW WIND所属は8年連続受賞)
ベストバウト=結城千種VSカンナ神威(4年連続同カードで受賞)
ベストタッグバウト=結城&カンナVS武藤&吉田
結城は2年ぶり3度目のMVP受賞。
唯一のライバルだったカンナに衰えが見えた今、結城が不動のエースだろう。
新人賞はスターライト相羽とジーニアス武藤の一騎打ちとなったが、僅差でジーニアスが受賞。
相羽には残念な結果だったが、新人賞が全てではないから二人にはこの先もっと上を目指してもらいたい。
ところで、ベストバウト部門の“結城VSカンナ”はなんと”4年連続”の受賞となる。
これはとても凄い記録だし、これを破るカードはもう出ないのではないだろうか。
そしてカンナ個人はなんとなんと“6年連続”のベストバウト受賞であり、タッグ部門にいたってはなななんと(ちょっとしつこいか・・・)“7年連続”だ。
これは驚異としかいいようがない。
カンナのキャリアは8年目。デビュー2年目の頃から好試合を連発してくれた事になる。
それにカンナは新人賞を受賞しているから、デビュー以来毎年授賞式に出席しているわけだ。うーん凄い・・・
ただ、若い頃から激闘を続けてきた反動か、最近のカンナはパフォーマンスの低下が著しい。
何度もフォールを奪ってきたダイビングヘッドバットなんて、今はただコーナーから落ちるだけで、飛距離がまるでなくなってしまっている。
受身のタイミングもだが、全体的に落ちが早く、カンナ引退の時はそう遠くないのかもしれないな。
もしかすると、伊達&マッキーの一期生より早く引退してしまうかもしれない。
これだけの実績を残す選手だ。いつまでもいて欲しいがそうも行くまい。
その時が来たら盛大に送り出してあげたいと思う。
カンナは嫌がるだろうけど。
でも、功労者カンナの希望は無視できないから、静かな興行になるかもしれないけどね。
さて、興行の方は、男子に対抗して、新日本ドーム大会からはじまる。
年明け一発目がドームでAACタッグの防衛戦がメイン。
ドーム大会はばるべく控えようと思っているのだけど、ドーム側から打診を受けたり、大日本TVさんの番組編成の都合などの話をされると断れない(苦笑)うちは弱い立場だから。
おかげで興行ローテーションがガタガタに・・・
最近は福岡+3都物語+関東(栃木のぞく)+宮城・秋田・西北海道だけで手一杯になってしまっている。
この地域は基本的に新女人気の高い地域でもあるので、興行戦争になりがち。
毎月どこかで新女と日程がバッティングしていたりするので、女子プロレスファンの方には迷惑をかけていると思う。
プロモーターとの関係もあって、全国サーキットはしばらくの間無理かもしれない・・・
なるべく合間を見て行くようにします。
行けなくなった地方の方からの興行スケジュールの問い合わせがあったりすると、心が痛む。
あちらを立てればこちらが立たず。
”古女房を捨てて愛人を作る時”って罪悪感を感じないのかな・・・私には絶対無理だと思う。
NEW WINDを支えてくれたのは500人、1000人の会場でやっていたときに見てくれていたお客さんたち。
今はその恩を返せない・・・とても心苦しい。
しかしそんな私の思いとは関係なく、ドームに52499人(超満員札止め)のお客さんは集まってくれるのだった・・・
ああ・・・集まってくれたお客さんを裏切ることもできないし、困った・・・
ドームのメインは永沢&吉田“ドラゴンダンス”に結城&武藤“νジェネ”が挑戦するAACタッグ戦。
序盤から巧みなタッチワークで主導権を握ったのはνジェネ。
個々の実力でも、連携でも王者組を上回る挑戦者組は、武藤の飛び技が冴え、結城の投げが王者組のスタミナを確実に奪っていく。
ヒップアタックを決めた武藤がムーンサルト狙いでコーナーへと向かうべく背を向けた。
その瞬間ダウンしていたと思われた永沢がガバッと跳ね起き武藤のバックをとる。
「な、なんですって・・・」
武藤は振りほどこうとするが、パワーは永沢の方が上。
「へへっ・・・死んだふりですう、よ!!ドラゴンタイガー!!」
永沢必殺のドラゴンタイガー(テキーラサンライズ)が爆裂!!
武藤は急角度でマットに叩きつけられてしまう。
「ばか!めぐみ返しなさい!!」
結城はカットには入らない。
「いわれなくったってこれくらい返すわよ!!」
武藤はカウント2.5でクリア。
「お返し!」
武藤は竜虎原爆ことへなーらサンセットの体勢に入る。
何度見ても、ツンツン武藤とあの“アニマル”ポーズのギャップが・・・笑える。
だが、見ているほど甘い技ではない。
実際に数多くのレスラーがあの技でマットに沈んでいるのだから。
しかし、投げ技に関しては永沢の方が上だ。
上手くクラッチをすかし、逆水平チョップを武藤の喉元に叩きこんで動きを止め、さっと吉田とチェンジ。
「よっしゃあ!」
吉田はリングインと同時にラリアートを狙うが武藤はそれを察知。
うまくかいくぐると、ショートレンジのラリアートを逆にお見舞い。
「千種!」
「任せてめぐみっ!」
結城とチェンジ。
結城は裏投げを狙いに組み付く・・・が、吉田はそれを予期していた。
「食らえ!!」
勢いのついた結城を担ぎあげると、クイックモーションでのプラズマサンダースライド!
いつもは担ぎあげてからの溜めが爆発力の源だが、今回は逆にクイックにした分結城の受けのタイミングを外したらしい。
「やばっ!」
武藤が懸命にダッシュ。
なんと押さえ込まれている結城を踏み台にして吉田へシャイニングウイザードを決めてカット。
「私を踏み台にした?」
「ごめん千種。・・・きゃう」
なんていっている間に永沢のフライングニールキックを後頭部に受け、武藤はダウン。
永沢はその武藤を場外へ蹴落とすと結城を担ぎ上げる。
「ほら龍ちゃん、いくよ~~!!」
「OK、食らえええ!!」
吉田がコーナーから飛ぶ。ドラゴンダンス版ダブルインパクト!
「ほらカバーいって!」
「いわれなくてもカバーするって!!」
吉田は渾身の片エビ固め。
もっともそこまでしなくても完璧にカバーできているのだけど。
「36分42秒、36分42秒 ダブルインパクトからの片エビ固めで勝者、吉田龍子!!」
大激戦を制したのは永沢&吉田のドラゴンダンス。結構いいコンビになってきたなあ。
結城&武藤はVSドラゴンダンス戦に連敗となり、さすがにショックかと思えばそうでもないらしい。
「負けたのは悔しいですけど、やっとライバル出現って感じかな。楽しいですよ。」
と結城。
νジェネにとってはサイレントヴォイス(伊達&カンナ)以来のライバル出現なのだろうか。
「といってもまだまだですけど。」
と武藤。
こいつはどうしてこうなのだ?黙っていてくれれば可愛いのになあ。
だが、まだまだと余裕をかましていた武藤の顔色が変わる出来事がおきる。
それはシリーズ最終戦のメインイベントで組まれたシングルマッチ。
武藤めぐみ VS ハイブリット南。
今日も武藤は絶好調で、得意の飛び技でハイブリットを完全に翻弄し、圧倒していた。
武藤はハイブリットをパイルドライバーで叩きつけると素早くコーナーへと駆け上がる。
“ダブルスピンムーンサルトだな”と会場の誰もが思っただろう。
そしてそれが決まった時、この試合が終わる事も・・・
そして武藤は期待通りに華麗に舞う。
天女のように華麗なダブルスピンムーンサルト。
だが、その華麗さに見とれていた観客達は気づいていなかったのだ。
ダブルスピンは高く舞い、高速で回転するので威力が増す。
だが、避けられたり、反撃を受けたりすれば自分自身へのダメージとなって跳ね返ってくる。
気づいていなかった武藤と観客を待ち構えていたのは、ハイブリットのヒザ。
「グッ・・・」
武藤は腹部を押さえて悶絶する。
そして、うかつな事に腹ばいの状態になってしまった。
このパターンは引退した南の得意パターンだったよな・・・
と思った瞬間出た技はハイブリット南のネオ・サザンクロスロック。
まさに姉、南利美のムーブそのものだった。
「ぐぐう・・・」
「さすがに粘るじゃない。普通ならタップしているはずなのに。なら、これでどう?」
ハイブリットはひねりを加えながら上体を引き起こす。エグイ角度やなあ・・・
決まり具合は完璧だし、場所もほぼリング中央。
武藤は飛び技を仕掛けるときにロープに逃げられないように計算して飛ぶタイプ。飛距離に自信があるだけに・・・ね。
今回はその自信が完全に裏目に出た。
「・・・!!」
武藤の手がマットを叩く。タップしたか・・・
「14分30秒、14分30秒 ネオ・サザンクロスロックにより勝者、ハイブリット南!」
現在のNEW WINDのナンバー2である武藤がまさかのギブアップ負け。
「負けは負けよ・・・」
これは武藤のコメント。
いつも強気な武藤らしくないが、さすがに悔しかったに違いない。
「完璧な試合ではなかったけど、完璧なフィニッシュではあったと思うわ。」
とはハイブリットのコメント。
いよいよ3期生と4・5・6期の差はなくなってきたか。
◇9年目3月◇
「勝機、見逃すわけには行かない!」
伊達のシャイニングフェニックスがフェニの顔面を的確に打ち抜く。
いつもならこれで決まるところだが、フェニは余裕で返す。
「勝機を見逃すわけには行かないのはこっちだ!」
フェニの必殺フェニックスライジング(シャイニング式フェニックス遥版カカト落し)が炸裂、フェニはカバーに入る。
そして・・・
なんと、3つ入ってしまった。
これには皆呆然。
とった当の本人のフェニでさえ唖然としていた。
「えっ!??」
「13分47秒、フェニックスライジングで勝者フェニックス遥!」
アナウンスが入ってもまだ歓声も上がらない。現実を受け入れがたいのか・・・
「只今の試合は13分47秒 フェニックスライジングでフェニックス遥選手の勝利となります。」
静まる会場を懸念し、仲間リングアナが再度コールを入れる。
どよどよというざわめきが広がるのがわかる。
「ほら、貴方の勝ちよ。」
レフェリーのトニー館がフェニの腕を上げる。
ここでようやく拍手と歓声。だがフェニはどうも納得していないらしかった。
「うーん、嬉しいけど・・・実感がわかないんです。最後のライジングもそれほど手応えを感じたわけではないので・・・」とフェニ。
「・・・・」
伊達は無言。
悔しさとかそういう感情もなかったのだろうか。
少々不思議な感じのまま試合は終わってしまった。
だが7期生フェニックス遥が1期生の伊達遥を撃破したのは事実。
どうもすっきりしないが事実は事実。これが衰えなのだろうか・・・
「これで終わりにします!」
みことがスイレンの腕を前で交差させると、頭を足の間に潜らせる。
そしてそのまま肩車の要領で持ち上げると旋回しながら後方に叩きつけた。
草薙流竜巻兜落し・・・みことの必殺技である。
1! 2! ・・・・
ス・・・
スイレンはギリギリのところで肩をあげた。
「やるようになりましたね蓮さん。でも!」
みことは今度は草薙流裸絞め(変形ドラゴンスリーパー)を仕掛ける。
みことの2大フィニッシュホールドを連続で食らってはさすがに・・・ダメだろう。
だがしかしスイレンはロープへと逃げる事に成功。
「タアッ!」
スイレンは立ち上がるとみことへ手刀を叩きこむ。
おいおいそんなのじゃみことは倒れないだろうに。
だが実はこれは見せかけだった。
手刀を叩き込むと見せかけて、スイレンは間合いを詰め、みことの懐をとったのだ。
「貰いました。」
スレインはみことの足を掴んで担ぎ上げる・・・この体勢から繰り出させる技は一つだけだ。
スイレンの必殺技”草薙流阿修羅退治”阿修羅でも倒せるという草薙流の秘奥技。
最近ますます破壊力が増しているこの技を受けてはさすがのみことも危ない。
スイレンがカバーに行くと、場内は異様な興奮につつまれた。
1! 2! ・・・
3!!
「14分32秒 草薙流阿修羅退治からの体固めで勝者、スイレン草薙!!」
ビッグサプライズ!
まさかみことが負けるとは・・・スイレン草薙恐るべし・・・
「蓮さん・・・やるようになりましたね。これからも修行に精進なさい。まだまだ上はいますから。」
「はい。」
スイレンとみことはお互いに正座すると丁寧なお辞儀をする。
この二人の間には憎しみなどという感情はないのだろう。
じつにさわやかな試合だった。
新旧交代の波が激しくなるNEW WIND。
まもなく10度目の春が訪れようとしていた。
↓ご意見・ご感想などはこちらからどうぞ。
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コメント
そうですねえここから先は続きます。
誰が先か、どうするか・・・というところです。
第1世代~第3世代に人材が偏るNEW WIND的には結構厳しい情勢ではあります。
4~7期が各1人というのも響きますね。
正直このあたりの事は考えてませんでしたから(苦笑)
誰が先か、どうするか・・・というところです。
第1世代~第3世代に人材が偏るNEW WIND的には結構厳しい情勢ではあります。
4~7期が各1人というのも響きますね。
正直このあたりの事は考えてませんでしたから(苦笑)
複雑です(笑)
うちの一期生は世代交代が早く・・・
5・6年でドンドンかわっていっちゃった
滝とか年齢が高かったからな~