南 利美 回顧録”MINAMI” より。
※このお話はレッスルエンジェルスサバイバーのプレイ結果から管理人Nが創作したものです。
このお話は”南利美視点”で書かれています。
いつもの風間社長視点ではないのでご注意ください。
この辺りを了承の上”つづき”をご覧になってくださいね。
※このお話はレッスルエンジェルスサバイバーのプレイ結果から管理人Nが創作したものです。
このお話は”南利美視点”で書かれています。
いつもの風間社長視点ではないのでご注意ください。
この辺りを了承の上”つづき”をご覧になってくださいね。
「15分8秒、15分8秒! フェニックスライジングからの体固めにより勝者、フェニックス遥!」
リングの上で大の字になった私は眩しいライトを光を呆然と見つめたままこのコールを聞いた。
”私・・・負けたのね・・・”
そう思った時、頭部に痛みを感じた。
フィニッシュに貰った技は6歳年下の後輩フェニックス遥の必殺技フェニックスライジング。
シャイニングウイザードの要領でカカト落としを叩き込む技。
オリジナルは”スコーピオライジング”って言ったっけ。
遥(伊達遥)によく似たあの子(フェニックス遥)もずいぶん成長したわね。
ううん、違うわ。
確かにあの子も成長したけど、それよりも私が私じゃなくなっているのね。
私は衰えを感じながらもそれをテクニックでカバーしてここまでやってきたけど、どうやらもう限界みたい。
本来なら負けるはずのない後輩とのなんでもない試合。
普通の興行に当たり前のように組まれた第3試合。
このポジションがいつから当たり前になったのかしら?
常にメインやセミファイナルで試合をしていたのに、いつのまにかこのポジションに落ち着いてしまったわ。
このなんでもない試合で私はキャリア2年に満たない後輩に負けた。
「南、大丈夫か?」
ダウンしたままの私に社長の声が聞こえた。
私は・・・この時自らの引退を決意した。
試合が終わったあとのリング上で社長に心配されるようじゃとても完璧とは言えないから・・・
この試合の3日後、私は社長に引退の意思を伝えたの。
社長は「せめて旗揚げシリーズの5月まではやらないか?」と残念そうに言ってくれたわ。
私は首を横に振ると「ありがとう社長。我侭だけど来月で引退します。まだ輝きが残っているうちに、輝きながら・・・リングをあとにしたいの。」
これ以上の醜態はさらしたくなかったから。
ごめんなさい社長・・・旗揚げシリーズまでは現役ではいられないわ。
「わかった。南は嫌がるかもしれないけど、盛大に送りだすよ。」
「嫌がるわ。わかってるでしょ?」
私はそこまで目立ちたがりではない。
こじんまりとした会場でひっそりと引退をしたいと思っていた。
「そういうと思った。でも、これはほぼ決定事項だから。」
社長は私に来月のツアー日程を書いた用紙を手渡してきた。
「まるで私が引退するってわかっていたみたいね。」
私は厭味を言って苦笑いしながらそれを受け取った。
「・・・フェニに負けた時の南を見てね。南の瞳が暗くなっていたから。今までよりもずっと・・・」
社長はそう言って寂しそうに笑った。
「でも、間違っていて欲しかったよ・・・まだまだ現役でいてもらいたかったから。」
「ありがとう。・・・それはいいけど何この日程・・・」
私は唖然とした。
社長が用意したスケジュールは過去に例を見ない大掛かりなツアー。
私達NEW WINDの実力でこれだけの会場を埋めることができるのだろうか。
「社運を賭けて南利美を送り出すよ。南の最後の勇姿を大勢の人に見てもらいたいからね。正直採算は考えてないんだ。」
「ふーん・・・それにしてもよくこれだけ用意できたわね。」
私は社長の手際のよさに半ばあきれ、半ば感心する。
社長が用意したのは、“どさんこドーム”(5万人)・“なにわパワフルドーム”(5万5千人)・”新日本ドーム”(5万人)・“九州ドーム”(5万5千人)の4ドーム球場を含む前代未聞の大掛かりなツアー。
このほかに仙台で9千人会場、広島で1万人会場、名古屋で1万人強の会場。
第7戦だけは普通の会場。
それは私の地元高知総合体育館(4500人)
しばらく高知で興行を打たないと思ったらこのときのためにキープしていたのね。
「2月は野球がないからね。なんとかなったよ。」
なるほど、そういわれればそうだったわね。
「対戦カードは南の希望に任せるけど、引退試合は伊達とやるんだろ?」
「なんでもお見通しってわけ?そのとおりね。高知では妹とシングルをやるわ。ほぼ1年半ぶりの対戦であり最後の対戦ね。」
これだけ妹ハイブリット南との対戦がなかったのは社長なりの気遣いだったのかしら。
妹に負けたら引退するって言っていたから・・・
おかげでまだ負けていないけど、そろそろベルトに挑戦するだけの実力を付け始めている妹に今更私が勝てるとも思えないわね。
結局負けて引退になるのかしら。
ちょっと嫌だけど、妹には伝えたいものがあるから、最後の対戦でそれを伝えてあげたい。
私は社長と相談しながら、全てのカードを決定していった。
それぞれに意味を持たせたカードを用意できたと思う。
まさに完璧な仕事だわ。
★第1戦 どさんこドーム大会
同期の蒔絵(マッキー上戸)と紫月(氷室紫月)と組んで、片倉(フェニックス遥)&蓮(スイレン草薙)&シャイニング(シャイニング神威)の3人と当たる6人タッグマッチ。
蒔絵も紫月も現役はそう長くはないと思うから、NEW WINDの未来を担う若手3人に試合を通じて伝えることができればいいと思う。
プロレスの楽しさ、そして厳しさを・・・
★第2戦 仙台市グランドアリーナ大会
遥と組んでの蒔絵&舞(永沢舞)組との対戦。
ライバルとして競ってきた遥との最後のタッグ・・・この試合は負けられない。
次代のエースと呼ばれる舞に私達のキャリアを叩きこんであげたいわね。
まだまだ舞が甘いって事を知ってもらわないと。
★第3戦 ひろしま若草アリーナ大会
妹ハイブリットと組んで2期生のカンナ&みことのコンビ“ホワイトスノー”との対戦。
妹とのタッグもこれが最後。
強敵が相手だけど、やるしかないわね。
★第4戦 なにわパワフルドーム大会
みこととの“パーフェクツ”で結城と武藤の“νジェネ”との試合。
もうパーフェクツではないかもしれないけど、もう一度組んでみたかったから。
みこととのタッグはそう長くはなかったけど楽しかったわね。
★第5戦 名古屋レインボープラザ大会
蒔絵との“上南シスターズ”再結成。
これはとても懐かしいわね(笑)。
彼女と組んでベルトとったこともあるけど、ずっと昔の話に感じるわ。
今のファンはこのタッグを知らないかもしれないけど、私にとっては大事な思い出の一つ。
メモリアルな感じでよいと思うけれど。
こういうノスタルジックな演出もいいわよね?
★第6戦 新日本ドーム大会
カンナとサブミッションマスターズを結成してメガライト&カオスのパワーファイターコンビとの対戦。
今の私にあの二人のド迫力パワーを受け止めることができるかしら。
ちょっと無謀だけど最後の挑戦ね。
★第7戦 高知総合体育館大会
地元高知での妹寿美・・・いえハイブリット南とのシングル。
妹とは久しぶりの対戦。
彼女がどれだけ成長したのか直接感じたい。
なんて偉そうなこといってるわね。
私は負けないように頑張るだけだわ。
★第8戦 九州ドーム大会
私の現役最後の試合は遥とのシングル。
社長はこの試合をダブルメインイベントの第1試合として組んでくれるという。
試合内容では本当のメインイベントであるNEW WINDヘビーの初代王者決定戦にはかなわないとは思うけど、私の残るすべてをかけて遥に挑もうと思う。
最後の相手を受けてくれた遥に感謝して・・・
8年目2月・・・私の最後のツアーで最後の南利美の輝きを見せたい。
輝きながら私はリングをあとにしたいから。
「南さん・・・本当にやめるの?」
遥が私に近寄ってきて耳元で囁いた。
「ええ。もう限界だと思うから。」
「そう・・・寂しくなるね。」
遥は本当に寂しそうだった。
「こら、そんな顔しないの。先輩のあなたがそんな顔したら後輩達はどうしたらいいかわからなくなるじゃないの。」
「う、うん・・・でも・・・」
遥の瞳は潤んでいた。
「まだあと1ヶ月あるから。それに私は団体には関わりたいと思っているし、これが今生の別れになるわけじゃないのよ。」
「でも・・・寂しいよ。」
「そりゃ私だって遥たちとリングで戦えなくなること、一緒に巡業にいけなくなるのは寂しいわよ。でもこれはいつかくる道。笑顔で送りだして頂戴。強い遥でね。」
「う、うん。」
遥はうなずいてくれたけどちょっと不安ね。
「運命ですねそれも。」
「仕方ねえかあ。ま、ちょっとだけ南さんのほうが早いだけだろうけどさ、ちょっと寂しいよな。半年前にラッキーがいなくなって、今度は南さんだろ。正直寂しいよアタシは。」
「もう私達も女子プロレスラーとしては若くないわ。もうあとの事を考える時期なのよ。私はちょっと皆より早かっただけ。」
「で、どうすんだ辞めたあとは?」
マッキーにしてはまともな質問だわね。
「うーんそうね、レフェリーでもいいし、広報とかでもいいし、私は団体に関わっていきたいと思ってる。ま、しばらくはバイクで旅でもするつもりだけどね。」
「ふーんそうか。アタシはてっきり社長と一緒にでもなるのかと思ったよ。仲いいもんなアンタら。」
マッキーはさらりと言う。
「あ、あのね!いつ私と社長が・・・」
「あん?一緒に食事いったりしてたじゃんか。アタシは今まで一回もないぜ?社長は南さんの事が好みなんじゃないのか?」
「それも運命ですよ、南さん。」
「あ、あんたたち楽しんでるでしょ?」
この子たちとこうやって話すのもあとわずかなのね。
引退するってことは色々な事が変わるのね。
私は改めてそれを考えるとちょっと不安な気持ちになる。
これからどうするのか・・・か。
本当にどうするんだろう・・・
実は引退することは決めたのだけど、そのあとはまだ考えていない。
団体に関わりたいのは本当だけど、私になにができるだろう。
秘書にでもなってもいいけど、霧子さんには勝てないだろうし、ホント困ったなあ。
でもこれから考えないといけないわけだし・・・ゆっくりと考えようかな。
・・・なんてこの時は思っていたのよ。
この次の章では、引退ツアーの各試合を振り返ってみるわ。
↓ご感想などはこちらからどうぞ。
リングの上で大の字になった私は眩しいライトを光を呆然と見つめたままこのコールを聞いた。
”私・・・負けたのね・・・”
そう思った時、頭部に痛みを感じた。
フィニッシュに貰った技は6歳年下の後輩フェニックス遥の必殺技フェニックスライジング。
シャイニングウイザードの要領でカカト落としを叩き込む技。
オリジナルは”スコーピオライジング”って言ったっけ。
遥(伊達遥)によく似たあの子(フェニックス遥)もずいぶん成長したわね。
ううん、違うわ。
確かにあの子も成長したけど、それよりも私が私じゃなくなっているのね。
私は衰えを感じながらもそれをテクニックでカバーしてここまでやってきたけど、どうやらもう限界みたい。
本来なら負けるはずのない後輩とのなんでもない試合。
普通の興行に当たり前のように組まれた第3試合。
このポジションがいつから当たり前になったのかしら?
常にメインやセミファイナルで試合をしていたのに、いつのまにかこのポジションに落ち着いてしまったわ。
このなんでもない試合で私はキャリア2年に満たない後輩に負けた。
「南、大丈夫か?」
ダウンしたままの私に社長の声が聞こえた。
私は・・・この時自らの引退を決意した。
試合が終わったあとのリング上で社長に心配されるようじゃとても完璧とは言えないから・・・
この試合の3日後、私は社長に引退の意思を伝えたの。
社長は「せめて旗揚げシリーズの5月まではやらないか?」と残念そうに言ってくれたわ。
私は首を横に振ると「ありがとう社長。我侭だけど来月で引退します。まだ輝きが残っているうちに、輝きながら・・・リングをあとにしたいの。」
これ以上の醜態はさらしたくなかったから。
ごめんなさい社長・・・旗揚げシリーズまでは現役ではいられないわ。
「わかった。南は嫌がるかもしれないけど、盛大に送りだすよ。」
「嫌がるわ。わかってるでしょ?」
私はそこまで目立ちたがりではない。
こじんまりとした会場でひっそりと引退をしたいと思っていた。
「そういうと思った。でも、これはほぼ決定事項だから。」
社長は私に来月のツアー日程を書いた用紙を手渡してきた。
「まるで私が引退するってわかっていたみたいね。」
私は厭味を言って苦笑いしながらそれを受け取った。
「・・・フェニに負けた時の南を見てね。南の瞳が暗くなっていたから。今までよりもずっと・・・」
社長はそう言って寂しそうに笑った。
「でも、間違っていて欲しかったよ・・・まだまだ現役でいてもらいたかったから。」
「ありがとう。・・・それはいいけど何この日程・・・」
私は唖然とした。
社長が用意したスケジュールは過去に例を見ない大掛かりなツアー。
私達NEW WINDの実力でこれだけの会場を埋めることができるのだろうか。
「社運を賭けて南利美を送り出すよ。南の最後の勇姿を大勢の人に見てもらいたいからね。正直採算は考えてないんだ。」
「ふーん・・・それにしてもよくこれだけ用意できたわね。」
私は社長の手際のよさに半ばあきれ、半ば感心する。
社長が用意したのは、“どさんこドーム”(5万人)・“なにわパワフルドーム”(5万5千人)・”新日本ドーム”(5万人)・“九州ドーム”(5万5千人)の4ドーム球場を含む前代未聞の大掛かりなツアー。
このほかに仙台で9千人会場、広島で1万人会場、名古屋で1万人強の会場。
第7戦だけは普通の会場。
それは私の地元高知総合体育館(4500人)
しばらく高知で興行を打たないと思ったらこのときのためにキープしていたのね。
「2月は野球がないからね。なんとかなったよ。」
なるほど、そういわれればそうだったわね。
「対戦カードは南の希望に任せるけど、引退試合は伊達とやるんだろ?」
「なんでもお見通しってわけ?そのとおりね。高知では妹とシングルをやるわ。ほぼ1年半ぶりの対戦であり最後の対戦ね。」
これだけ妹ハイブリット南との対戦がなかったのは社長なりの気遣いだったのかしら。
妹に負けたら引退するって言っていたから・・・
おかげでまだ負けていないけど、そろそろベルトに挑戦するだけの実力を付け始めている妹に今更私が勝てるとも思えないわね。
結局負けて引退になるのかしら。
ちょっと嫌だけど、妹には伝えたいものがあるから、最後の対戦でそれを伝えてあげたい。
私は社長と相談しながら、全てのカードを決定していった。
それぞれに意味を持たせたカードを用意できたと思う。
まさに完璧な仕事だわ。
★第1戦 どさんこドーム大会
同期の蒔絵(マッキー上戸)と紫月(氷室紫月)と組んで、片倉(フェニックス遥)&蓮(スイレン草薙)&シャイニング(シャイニング神威)の3人と当たる6人タッグマッチ。
蒔絵も紫月も現役はそう長くはないと思うから、NEW WINDの未来を担う若手3人に試合を通じて伝えることができればいいと思う。
プロレスの楽しさ、そして厳しさを・・・
★第2戦 仙台市グランドアリーナ大会
遥と組んでの蒔絵&舞(永沢舞)組との対戦。
ライバルとして競ってきた遥との最後のタッグ・・・この試合は負けられない。
次代のエースと呼ばれる舞に私達のキャリアを叩きこんであげたいわね。
まだまだ舞が甘いって事を知ってもらわないと。
★第3戦 ひろしま若草アリーナ大会
妹ハイブリットと組んで2期生のカンナ&みことのコンビ“ホワイトスノー”との対戦。
妹とのタッグもこれが最後。
強敵が相手だけど、やるしかないわね。
★第4戦 なにわパワフルドーム大会
みこととの“パーフェクツ”で結城と武藤の“νジェネ”との試合。
もうパーフェクツではないかもしれないけど、もう一度組んでみたかったから。
みこととのタッグはそう長くはなかったけど楽しかったわね。
★第5戦 名古屋レインボープラザ大会
蒔絵との“上南シスターズ”再結成。
これはとても懐かしいわね(笑)。
彼女と組んでベルトとったこともあるけど、ずっと昔の話に感じるわ。
今のファンはこのタッグを知らないかもしれないけど、私にとっては大事な思い出の一つ。
メモリアルな感じでよいと思うけれど。
こういうノスタルジックな演出もいいわよね?
★第6戦 新日本ドーム大会
カンナとサブミッションマスターズを結成してメガライト&カオスのパワーファイターコンビとの対戦。
今の私にあの二人のド迫力パワーを受け止めることができるかしら。
ちょっと無謀だけど最後の挑戦ね。
★第7戦 高知総合体育館大会
地元高知での妹寿美・・・いえハイブリット南とのシングル。
妹とは久しぶりの対戦。
彼女がどれだけ成長したのか直接感じたい。
なんて偉そうなこといってるわね。
私は負けないように頑張るだけだわ。
★第8戦 九州ドーム大会
私の現役最後の試合は遥とのシングル。
社長はこの試合をダブルメインイベントの第1試合として組んでくれるという。
試合内容では本当のメインイベントであるNEW WINDヘビーの初代王者決定戦にはかなわないとは思うけど、私の残るすべてをかけて遥に挑もうと思う。
最後の相手を受けてくれた遥に感謝して・・・
8年目2月・・・私の最後のツアーで最後の南利美の輝きを見せたい。
輝きながら私はリングをあとにしたいから。
「南さん・・・本当にやめるの?」
遥が私に近寄ってきて耳元で囁いた。
「ええ。もう限界だと思うから。」
「そう・・・寂しくなるね。」
遥は本当に寂しそうだった。
「こら、そんな顔しないの。先輩のあなたがそんな顔したら後輩達はどうしたらいいかわからなくなるじゃないの。」
「う、うん・・・でも・・・」
遥の瞳は潤んでいた。
「まだあと1ヶ月あるから。それに私は団体には関わりたいと思っているし、これが今生の別れになるわけじゃないのよ。」
「でも・・・寂しいよ。」
「そりゃ私だって遥たちとリングで戦えなくなること、一緒に巡業にいけなくなるのは寂しいわよ。でもこれはいつかくる道。笑顔で送りだして頂戴。強い遥でね。」
「う、うん。」
遥はうなずいてくれたけどちょっと不安ね。
「運命ですねそれも。」
「仕方ねえかあ。ま、ちょっとだけ南さんのほうが早いだけだろうけどさ、ちょっと寂しいよな。半年前にラッキーがいなくなって、今度は南さんだろ。正直寂しいよアタシは。」
「もう私達も女子プロレスラーとしては若くないわ。もうあとの事を考える時期なのよ。私はちょっと皆より早かっただけ。」
「で、どうすんだ辞めたあとは?」
マッキーにしてはまともな質問だわね。
「うーんそうね、レフェリーでもいいし、広報とかでもいいし、私は団体に関わっていきたいと思ってる。ま、しばらくはバイクで旅でもするつもりだけどね。」
「ふーんそうか。アタシはてっきり社長と一緒にでもなるのかと思ったよ。仲いいもんなアンタら。」
マッキーはさらりと言う。
「あ、あのね!いつ私と社長が・・・」
「あん?一緒に食事いったりしてたじゃんか。アタシは今まで一回もないぜ?社長は南さんの事が好みなんじゃないのか?」
「それも運命ですよ、南さん。」
「あ、あんたたち楽しんでるでしょ?」
この子たちとこうやって話すのもあとわずかなのね。
引退するってことは色々な事が変わるのね。
私は改めてそれを考えるとちょっと不安な気持ちになる。
これからどうするのか・・・か。
本当にどうするんだろう・・・
実は引退することは決めたのだけど、そのあとはまだ考えていない。
団体に関わりたいのは本当だけど、私になにができるだろう。
秘書にでもなってもいいけど、霧子さんには勝てないだろうし、ホント困ったなあ。
でもこれから考えないといけないわけだし・・・ゆっくりと考えようかな。
・・・なんてこの時は思っていたのよ。
この次の章では、引退ツアーの各試合を振り返ってみるわ。
↓ご感想などはこちらからどうぞ。
PR