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2017/11/21 00:36 |
選手視点挿入話「師匠である前に」

伊達 遥 自伝「フェニックス伝説~本当はおしゃべりな私」より。

(※今回はNEW WIND編の選手視点挿入話その42.8「”師弟(クリスマスプレゼント続編)”-師ver」に該当するお話です。)

 永沢舞ヴィクトリーロードと称したシリーズが行なわれたのは5年目の12月でした。今まで個人名をつけたシリーズはなかったので、ちょっと羨ましい気持ちでしたね。
 この頃の私は南さんと一緒にマッチメイク会議に出席するようになっていました。
 マッチメイク会議の時に初めて社長からこの構想を聞いたのですけど、驚きました。
 でも舞も頑張っていたし、それはいいことかなと思いました。私と組んでのタッグ7戦と最終戦で総仕上げのシングル1戦の全8戦です。
「こういうのは試練のシングル8番勝負をやるものじゃないの?」と南さん。
 私も正直そう思いました。
「うーん…それじゃ他団体と同じだろ。だからタッグメインで行く。」
相変わらず常識を破りたがるのが風間社長らしいですね。
「ふーん。それはいいけど、最終戦はどうするのかしら?」
「…伊達とのシングル。」
「…ベタね。」
「ああ、ベタだ。」
「しかも当日発表なんて煽っておいて、ものすごーく誰もが思いつきそうなカードを組むのね?」
「ああ。ガールズ・ゴングのO坂記者には『ここは師匠の伊達遥との一騎打ちしかない!と思っていますが、社長はどうお考えですか?』なんていわれたよ。」
 結局、ベタなカードと言われようが最終戦のシングルの相手は私と決定。
 もちろん舞には内緒です。私が練習を…舞の練習を教えはじめてから7ヶ月。
 一度だけシングルで当たりましたが、それから大分経っています。
『舞がどれだけ進歩したのか。』『私がコーチでよかったのか?』が試されるのです。
『コーチ就任の章』でも書きましたけど、私が舞の練習を見始めたのは社長に騙されたからです。社長は私に『挑戦』『兼任コーチ』『お給料上乗せ』というキーワードを提示する事で巧く私を丸め込んだのです。なにしろ、うちの社長はこういう丸め込み技は得意ですから(笑)
『3分2秒、口車で勝者、風間新!』という感じです。
 それに私は正直言って舞みたいなタイプは苦手でした。だって…おしゃべりだし、うるさいし…だし。
 でも…ちょっとだけ羨ましかった。誰とでも仲良くなれる、誰とでもお話が出来てしまう舞が。さて、そんな舞を教える事になってしまった私は、ちょっと困惑しつつも舞と時間を共有するようになり、メル友にもなりました。
 おかしいですよね。同じ建物にいるのに、メールでアドバイス送ったりとかして。
 でも最初はメールで教えていましたが、知らないうちにちゃんと舞と話せるようになっていました。タッグを組む機会も多くなったし、試合中にはメールできないですし。
『返せ!』なんてメール打っても見る頃には試合終わっていますから。
「ドラゴンとタイガーが使いたいです!」とある日舞はいいました。
ドラゴンスープレックスとタイガースープレックス。これを両方使うレスラーってあまりいないですよ。ドラゴンとタイガーとの打ち合いという試合展開は多いと思うのですけど。
「…どちらか…にしたら?」
「両方使いたい!!です。」
 まったく我侭な娘です。でも自由奔放で可愛いですけど。あ…私そういう趣味ないですけどね。ちょっとの間思案した私はこう提案しました。
「じゃあ…ドラゴンタイガー…って技を覚えてみる?」   
「ドラゴンタイガー?!カッコイイですね!」
 もちろんドラゴンタイガーという技なんてありません。舞を納得させる為の嘘です。
本当はテキーラサンライズって技です。舞は投げ技のセンスがあるので、難易度の高いこの技を覚えるのにそんなに時間はかかりませんでした。形になってくるとすぐに使いたくなるのがレスラーの性。特に舞は余計そうだったので、完成するまでの間宥めるのが大変でしたね。
 龍子との試合で初公開した時、私はちょっとウルってきました。今までは教えてもらう立場だったので分からなかったけど、教えた技がちゃんとできた時って…本人が出来たより嬉しいものですね。きっとダンディ須永さんはいつもそんな気持ちだったのだろうなって思います。
舞にはあの後、「ドラゴンタイガーじゃないですか!ぶー」って言われましたけど。
「でもテキーラサンライズもカッコイイいいですよね。もっとも私の中ではドラゴンタイガーなんですけど! ともかく遥先輩に感謝!カンシャです。」と泣きながら舞が言うので、私も一緒に泣いちゃいました。
あ、これ内緒ですよ!って自伝に書いてれば内緒もなにもないですね。

 成長を楽しみにしている弟子と組んでのヴィクトリーロード。楽しかったです。
風間社長は意地悪なので、強いチームとばかり当てられて大変でしたけど。
 舞とのタッグですか?
 そうですね…『サイレントヴォイス』とは、全然違います。「強い」と言われていた『サイレントヴォイス』ですけど、本当はタッグチームとしてはそんなにレベルの高いチームじゃないと思っています
 私とカンナの場合、『個々の強さ』で押していたから。
 本当のタッグチームって、めぐ(武藤めぐみ)とちぐ(結城千種)みたいなお互いを信頼しているチームだと思うんです。そういう意味では舞とのタッグはタッグチームらしさがあったと思います。
 この永沢舞Vロードは3勝4敗で最終戦を迎える事になりました。
舞には本当に当日伝えました。
「舞…私が今日の相手…」
「えー遥さんが…ですか!」
「うん。私に勝てば4勝4敗で終れるけど、私はそうはさせないから・・・」
「…わかっています!正々堂々全力でお願いします!私も全力で行きます!」
 力強く微笑む舞に私は彼女の成長を感じました。でも超えられるわけにはいきません。
私は舞の師匠である前に、レスラーです。負けるのは嫌です。それにエースであり王者でもある以上負けられません。『絶対に負けられない!』試合です。   

 そして師弟対決のゴングが鳴ったのです。 


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2008/06/12 18:00 | Comments(0) | NEW WIND 改訂版

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