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2024/04/17 03:45 |
NEW WINDの物語 第21話「EX-S中盤戦」 
 NEW WIND社長 風間新 手記より
 


 改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。

 この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
 以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を楽しんでみてください。

 ※今回は4年目12月のお話です。※
(NEW WIND編のその27「EX-S中盤戦」からその29「EX-S決着」の序盤部分のお話に該当します。)

◇タッグリーグ戦3日目◇

 おかげ様で今日も超満員札止めと大盛況だ。永沢じゃないけど「ファンの皆さんに感謝!カンシャ!」だな。
『チームV』ハン&永沢組VSアリス&クライ組の試合から3日目の公式リーグ戦はスタートした。
 この対戦は実力者ハンの存在が大きく、『チームV』ハン&永沢組が勝利をおさめた。
そして、初日・二日目とまさかの連敗を喫し、苦しいスタートとなった、有力候補チーム『ジューシーペア』は、ミラー&エレナ組をなんなく撃破し、ようやく初日を出した。
 優勝候補の一角だっただけにこの出遅れは痛いが、まだわずかだが可能性は残っているだろう。

 台風の目と目された『運命』氷室&イザベラは、ここまで安定した強さを見せる『パーフェクツ』と激突。
ここで『運命』が勝てば面白い事になるところだが、残念ながら善戦どまりだった。
『運命』が欲しかったのは、善戦なんて言葉ではなくて勝利だったはずだ。
 危ない場面もあったが、最後は関節を警戒する氷室の裏をかいて、南は裏投げで完璧に投げ飛ばしフォールを奪った。
 うーん、さすがは南だ。こういう判断力は素晴しいね。
 全勝をキープした『パーフェクツ』はそのまま控え室には戻らず、本部席にドカッと腰掛けてきた。
「なんのつもりだ、南?」
「何って?偵察に決まっているじゃない。」
「これは私も見たいカードですし。」
 まぁ、分からなくもないけどな。
今日のメインイベントは『サイレントヴォイス』VS『νジェネ』
 私も正直なところ今日一番観たいカードだ。
ま、一番観たいカードだからこそ『メインイベント』なのだけれども(笑)

 AACタッグ王者サイレントヴォイスは、ここは負けられない一戦。
タッグ王者として負けるわけにはいかない試合だし、ここで負けるようなことになると、リーグ戦がかなり不利になる。
 すでに最大のライバルと目される『パーフェクツ』は『ジューシーペア』及び、『νジェネ』という強豪チームから勝利している。
 残りの対戦カードを見る限り『パーフェクツ』は6戦全勝で最終戦の『サイレントヴォイス』との対戦を迎えるハズだ。だからこそ、負けられない試合。
そして、対する『νジェネ』もここを勝てば優勝の可能性が残る一戦。
 両チームとも負けられない。

 20分すぎ、伊達の必殺シャイニングフェニックスをまともにもらった結城は、スローモーションで倒れ込んでしまう。
 即座にカバーに入る伊達!
動きが止ったパートナーを見て武藤は慌ててカットに入る。
「千種!」
ニールキックで伊達をカットし、パートナーを救出する。
 そして、返す刀でカンナにもニールキックを放つが、ここはカンナが一枚上手だった。蹴り足を上手くキャッチすると、くるりと一回転。。命名するなら、ダイレクトキャッチ・ドラゴンスクリューという感じか。武藤は予想外の技に膝を抱えて倒れてしまう。
 ダウンしたままだった結城は、ここでようやくクビを押さえながら立ち上がってきたが、そこを伊達の膝が襲う!
「千種!」
リング内に転がったまま武藤が叫ぶ。
その声に反応した結城は、伊達のニーをなんとか回避すると伊達のバックを取った。
「伊達ええええっ!」
「しまっ…」言い終わらないうちに、伊達は危険な角度でリングへと叩きつけられていた。
「カバー!」
結城は渾身の片エビ固めで押さえたが、伊達はカウント2.8でクリアしてみせた。
さすがにタフだ。
「千種、チェンジ!」
「OK!」
 右足を押さえながらもタッチを要求するパートナーと交代。
「これで!!」
足元がふらつく伊達に対し、武藤は華麗なるムーンサルトアタック。
 武藤はそのまま伊達を押しつぶしカバーする。しかし、これを2.9でクリアする伊達。
「千種!アレ行くよ!カンナを潰して!」
「OK、めぐみ!」
結城はコーナーに控えるカンナへケンカキックを叩きこみ、場外へと転落させる。
そしてフラフラの伊達を肩車で担ぎあげたのだった。
「千種!」
「めぐみ!」
「これで終わり!!!」
 νジェネがフィニッシュに選んだのは、『νインパクト』。
伊達を結城が肩車で担ぎ上げ、武藤がそれを目掛けてダイビングニールキック。
これは文句なしの説得力で決まり、いくらタフが売りの伊達でもこれは返せない。
 カウント3が入った瞬間、場内は大きな歓声に包まれた。
「24分15秒、νインパクトからの体固めで勝者、武藤めぐみ!」
 この仲間リングアナのコールに、再び大きな歓声と拍手が巻き起こる。
「ついに・・・勝った!」
「やったね、めぐみ!!」
3期生の結城&武藤が大仕事をやってのけた。
 何度挑んでも倒せなかった『サイレントヴォイス』をついに撃破したのだ。
「…負けちゃっ…た?」
さすがにダメージが大きい伊達をカンナが抱き起こしている。
「チッ・・・あんな大技をいつのまに・・・」
カンナは忌々しそうに、抱き合って喜ぶ二人を睨んでいた。

「まさか、こういう結果になるとはね…意外だったわ。」
「でも南さん、これで優勝の可能性は…」
「確かに上がったけど、私たちの標的はもともとあの二人だけよ。どうせならお互い全勝で当たりたかったのだけれど。」
南はちょっと不満そうな顔をしていた。

 3日目が終了した段階で、全勝は『パーフェクツ』のみとなり、『νジェネ』、『サイレントヴォイス』、『チームV』が2勝で後を追っている。


◇タッグリーグ戦4日目◇

ここまで2勝と頑張ってきた『チームV』だが、さすがに元タッグ王者チームである『ジューシーペア』相手では力量の差がハッキリしていた。見せ場は作ることはできたけど。
 『νジェネ』はミラー&エレナ組をまったく寄せ付けずに勝利し、『パーフェクツ』も、楽勝してみせた。なにしろみことの新技『月面水爆』を試し斬りする余裕すらあったのだから。
 この日一番の注目カードは、『サイレントヴォイス』VS『運命』
昨日『νジェネ』相手に不覚をとった『サイレントヴォイス』は絶対に負けられない一戦。
 今日もし負けるようなことになれば、優勝の可能性は消えてしまう。
「負け…られない。」
「勝ってみせます。」
 この気合が勝利を呼び込んだのか、終始試合をリードし、最後はカンナの『クロスフェイス・カンナ』で氷室からギブアップを奪い危なげなく勝利を収める。

4日目終わって、『パーフェクツ』が全勝をキープ、1敗で『νジェネ』と『サイレントヴォイス』が後を追っている。

◇タッグリーグ戦5日目◇

 『チームV』永沢の成長と奮闘を認めたみことは、最後は伝家の宝刀『草薙流竜巻兜落し』を繰り出し、手荒い成長祝い。『パーフェクツ』はこれで無傷の5連勝。
 『サイレントヴォイス』も格下チームを圧倒し、1差をキープ。

 本日のメインイベントは、『νジェネ』VS『ジューシーペア』。 
『サイレントヴォイス』を撃破し勢いに乗る『νジェネ』が、このリーグ戦不振の『ジューシーペア』をも撃破するかと思っていたのだが、番狂わせが発生。
いや、実績では上だから番狂わせではないのかな?

 『マッキースプラッシュ』(旋回式スプラッシュマウンテン)を食らった武藤はそのままエビに固められてしまった。
 これは何とか結城がカットしたのだが、直後にラッキーのラッキークロスに捕まってしまう。
 まだマッキースプラッシュのダメージが残る武藤は、苦し紛れにフライングニールを放つが、威力がない。
 あっさりとマッキーにキャッチされ、逆に必殺技であるMAXマッキーバスター!
これを返す体力は残っておらず、武藤は無念の3カウントを聞いた。 
この敗戦は、優勝争いからの後退を意味する。
勝てると思っていた試合を落とした『νジェネは』試合後のインタビューを拒否する。
 相当ショックが大きかったのだろうな。

「サプライズとか番狂わせとか好き勝手言ってくれているけどよ、こっちの方が実績も実力も上だぜ?勝って当然だよ!」
「負けるつもりはありませんでした。」

5日目が終了して、依然『パーフェクツ』が全勝をキープ。それを一勝差で『サイレントヴォイス』が追う。優勝争いはほぼこの2チームに絞られた。
なおこの2チームの対戦は最終戦のメインに予定されている。

◇タッグリーグ戦6日目◇

 『νジェネ』、『パーフェクツ』は危なげなく勝利。『運命』は『ジューシーペア』に惜敗。
台風の目になるかもと思われた『運命』だったが、上位4チームには全敗。
現時点における力の差かなあ。
「これも運命…」と、氷室。

『チームV』永沢が『サイレントヴォイス』相手に奮闘したのだが、さすがに現時点でのレベルの違いを否めなかった。
最後は「認めたから」という伊達の必殺技『シャイニングフェニックス』で永沢轟沈。
この結果『サイレントヴォイス』は1敗をキープ。
 優勝の行方は最終戦のメインイベントで決まる。

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2008/03/09 13:00 | Comments(0) | NEW WIND 改訂版

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