NEW WIND社長 風間新 手記より
改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。
この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を楽しんでみてください。
※今回は4年目12月のお話です。※
(NEW WIND編のその29「EX-S決着」からその30「高みへ」のお話に該当します。)
改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。
この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を楽しんでみてください。
※今回は4年目12月のお話です。※
(NEW WIND編のその29「EX-S決着」からその30「高みへ」のお話に該当します。)
◇最終日◇
本日も超満員札止めだ。もうファンの皆様に感謝、スタッフに感謝、選手に感謝だね。
『ジューシーペア』は5勝2敗で日程終了。
連敗スタートしたものの、その後5連勝で見事な巻き返しで、実力をアピール。ひとまずこの時点で3位以内は確定する。
「うーん、しょっぱい結果になっちまったな。」
「そうね、最初勝てなかったから。」
「ま、武藤達は潰したけどな。あいつら生意気だし。」
『運命』は3勝4敗で終了。
上位チームには全敗したが、とれる所からは取っている。
「運命の歯車は回ったばかり。」
「そうそう。ネクストで勝負ね!」
『νジェネ』は5勝2敗で日程終了。
優勝候補に筆頭『サイレントヴォイス』を打ち破ったνジェネだったが『ジューシーペア』に敗れたのが痛かった。
「まったく、今思い出しても腹が立つわ~あのゴリラ女。」
「ちょっとめぐみ、先輩に向かってゴリラはないでしょ、ゴリラは。」
「千種だって、思いっきり言っているじゃないゴリラって。」
「あ…」
口に手を当てる結城だったが、もう遅い。
「…えーとマッキー選手とラッキー選手、この借りはさっさと返しますね。」
「あんたも十分失礼だと思うよ、千種。」
2勝5敗の『チームV』は、チームリーダーのハンはコメントを出さず、永沢がコメントを残している。
「このような舞台へ出させていただき、いい経験になりましたナリマシタ。だけど、やっぱり結果が出せなかったのは悔しいです。絶対ゼッタイ強くなります!」
デビュー半年でのこの経験を、彼女がどう活かすかだな。今後成長が楽しみだね。
☆メインイベント・EX―Sタッグリーグ公式戦☆
ここまでリーグ戦6戦全勝のEWAタッグ王者『パーフェクツ』と、それを1差でおう1敗のAACタッグ王者『サイレントヴォイス』
この試合『パーフェクツ』が勝てば全勝で優勝決定、もし『サイレントヴォイス』が勝てば同点となり再試合、優勝決定戦を行う事になる。
ここで決めたい『パーフェクツ』と、ここは負けられない『サイレントヴォイス』
この両者の気持ちが、このカードとしては珍しく早い展開を作り出す。
戦前の予想では、最低40分は戦うだろうと思われたのだが、展開されたのは予想外のハイスパートレスリング。
まるで60分1本勝負ではなく、15分1本勝負か?と思わせるほどの仕掛けの早さである。
「試合時間15分経過、15分経過!」
このアナウンスが入った頃には、両チームボロボロだった。
この試合、一体どの技で決まるのか?
みことの『草薙流竜巻兜落し』か、伊達の『シャイニングフェニックス』か、それともカンナの『クロスフェイス・カンナ』いや、南の『ネオ・サザンクロスロック』かもしれない。
私はこの先の展開を読もうとしたが、この4人の攻防は私の…そして観客の上を行く。
結論から言えばこのどれでもなかった。最後は意外な技での決着となる。
『サイレントヴォイス』は、みことを場外へ落とし、『パーフェクツ』を分断すると、
南に打撃を叩きこんで動きを止めた。
「行くぞ!」
カンナの声に伊達が頷く。
二人はさっと南を挟むようにロープへと飛ぶ。
伊達が南の正面から、カンナが南の背後からアックスボンバー気味のラリアートを同時に放つった。『クロスボンバー』だ。
これで南の気持ちが折れ、みこともカンナの妨害でカットに入れず3カウントが入った。
「20分30秒!20分30秒!クロスボンバーからの体固めで勝者、伊達遥!」
仲間リングアナの声が響き、場内は歓声に包まれる。
「この試合の結果、EX―Sタッグリーグ戦は『パーフェクツ』南利美&草薙みこと組と『サイレントヴォイス』伊達遙&カンナ神威組が同点となりました。この後、この両チームでの優勝決定戦を行います!」
選手たちには過酷なスケジュールとなる。
今の状態でまともな試合が出来るわけもない。こういう時の為に用意はしてある。
私はマイクを持って立ち上がった。
「この後、優勝決定戦を行うと発表いたしましたが、選手の体調面を考慮いたしまして、変更させて頂きます。ただ今からリング調整の為10分間の休憩を挟み、休憩後はリーグ戦参加選手によるバトルロイヤルを行います。バトルロイヤル終了後、再度10分の休憩を挟み、優勝決定戦を開催いたします。」
場内からは即決着を望む声も多少はあったが、概ね歓迎ムードだった。
ちょっとお得なボーナストラックという感じでいてくれているのだろうか?
少しでも休む時間を与えたい。それが私の望みだ。
このバトルロイヤルについては、決定戦になった場合は開催すると、該当チーム以外の全選手に事前に通達してあった。今頃は皆準備をしてくれているはずだ。
リング上では結城、武藤、永沢がロープの弛みをチェックしたり、スカイブルーのリングマット上の汗をふき取ったりしていた。
「18分45秒、回転エビ固めで、勝者、永沢舞!」
バトルロイヤルは乱入したハンの掌底と、武藤の二―ルキックのアシストを受けて、マッキーを丸めこんだ永沢の優勝。永沢は賞金20万円をGET!
「やりましたヤリマシタ!!!…え~っ!!!賞金山分け?ひどいです、先輩。」
「ふん、だれのおかげで勝てたと思っているのよ?」
「えー、もちろんハンさんのおかげですよ(笑)」
永沢はハンと腕を組む。
「可愛くない!」
いや、武藤に言われたくはないと思うよ。
この10分後に行われた優勝決定戦は、ダメージの大きい南が精彩を欠き、カンナのクロスフェイスでギブアップを奪われてしまった。
この結果、優勝はAACタッグ王者『サイレントヴォイス』伊達遙&カンナ神威組となる。
やはり連戦になると伊達の回復力の高さは大きいな。
各選手のコメントは以下の通り。
「…………(長い沈黙なので略す)…嬉しい…でもまだまだだから。」
伊達はこのだけのコメントに10分近くかかった。。
「今回の優勝に満足せず、より精進していきます。大会を支えてくださったスタッフの皆さんに感謝します。」
カンナはスタッフへの感謝を忘れない。
「残念ですけど、やはり修行が足りなかったですね。」
「勝てると思っていたけれど、プロレスって甘くないわね。まだまだ完璧じゃないわ。」
みことも、南も悔しさが顔に出ていた。
ともかくみんな、お疲れ様。みんなの頑張りのおかげでいい大会になったと思う。
「社長、気遣ってくれて、ありがとう。でも、あのおかげで、休む時間はとれたけど、社長は私達が負けるって思っていたわけ?」
うっ…南の眼笑ってない、もしかして怒っている??
「ふふ、冗談よ。そういうケースも想定するのが社長の仕事だものね。社長もお疲れ様。そうそう、もうその似合わない格好は辞めていいわよ。普通の社長に戻ってね。」
ヒール社長の演出はもういいって事かな。
「ありがとう。ゆっくり休めよ」
こうしてEX―Sタッグリーグは幕を閉じた。
優 勝=6勝1敗『サイレントヴォイス』伊達遥&カンナ神威
準優勝=6勝1敗『パーフェクツ』南利美&草薙みこと
3 位=5勝2敗『ジューシーペア』マッキー上戸&ラッキー内田
4 位=5勝2敗『νジェネ』結城千種& 武藤めぐみ
みんなお疲れ様。
◇女子プロレス大賞◇
MVPはなんと2年連続で伊達が受賞。
「…来年も頑張ります。」
老舗の新女ではなく、新興団体のうちから2年連続してMVPを受賞できる選手が出てくるなんて、旗揚げの頃は思ってもみなかったよ。
伊達はもうスター選手なのだなぁと改めて実感する。
最初に彼女と会った時に「スターにする」などと言った自分が恥ずかしい。
彼女は自分の力でスターになったのだからね。
そして、最優秀新人賞は永沢が受賞。
「やったあ!これはとらないといけないってプレッシャーでしたデシタ!」
どうやら世間ではウチは『脅威の新人養成所』と言われ始めているらしい。
実際、最優秀新人賞受賞者を3年連続で出しているのだから当然かもしれないね。でも、そういう評判が立てば立つほど後の人間は辛くなるよな。
周りの期待が高いというのは嬉しいことではあるが、期待を裏切った時の落差も激しいはずだ。
誰もがたった一人の4期生永沢は凄いはずだ、大きく成長すると思っている。
これはやはり15歳の少女には大きなプレッシャーになるのだろうな。
受賞が決まったと聞いた永沢は、安堵の涙を流していた。
「よかった…ホントに。選んでくれた事に感謝、カンシャ!社長に先輩たちにも感謝、カンシャ。」
おめでとう永沢。でも、これからが本当のスタートだということは忘れないでほしい。
なんと今年のベストバウトは『伊達遥VSカンナ神威』が選出された。
伊達は2年連続の受賞となるが、昨年の相手はEWAのハンだった。
今年はカンナとのシングルでの受賞。NEW WIND勢同士の試合での受賞の意味は大きい。
「…カンナとだから…今年の方が…嬉しい。」
「負けた試合での受賞ですから、複雑な気持ちです。でも、年間で何百試合も行われた女子プロレスの今年1番という評価は嬉しいですね。」
確かに凄い試合だったし、いい試合だった。でも、負けて受賞というのはどんな気持ちだろう。
「嬉しいけど、素直には喜べない」…そんな感じじゃないかな。
ベストバウトのタッグ部門もNEW WINDから選出。
つい先日に行われたEX―Sタッグリーグの『サイレントヴォイス』VS『パーフェクツ』が選ばれた。
老舗新女のEXタッグリーグからではなく、我々のEX―Sタッグリーグから選出されたわけだ。
観客動員ではEXを上回っていたけれど、試合内容でもEXタッグを上回った証明がこれで出来たわけだ。
ある意味この賞を受賞した事が一番私としては嬉しかったよ。
なお伊達&カンナは昨年に引き続き同じチームで2度目の受賞となる。
「またとれて…嬉しい。」
「来年もとりたいですね。」
サイレントヴォイスは磐石か。
来年もうちのタッグ戦線はサイレントヴォイス中心になるのだろうか。
「2年連続受賞は嬉しいけれど、2年続けて負け試合じゃ素直に喜べないわ。今度は勝った試合で受賞したいわね。」
「修行を積んで、来年は勝って受賞します。」
この女子プロレス大賞の結果を受け、南の持つEWAのシングル王座には、伊達が挑む事になった。
「2度目の防衛戦にして強敵ね。遙には負けるわけには行かないの。遥が高みを目指すのであれば、私もその先を目指すだけよ。」
「ベルト…貰います。」
南と伊達、ライバル対決の結果はいかに。
本日も超満員札止めだ。もうファンの皆様に感謝、スタッフに感謝、選手に感謝だね。
『ジューシーペア』は5勝2敗で日程終了。
連敗スタートしたものの、その後5連勝で見事な巻き返しで、実力をアピール。ひとまずこの時点で3位以内は確定する。
「うーん、しょっぱい結果になっちまったな。」
「そうね、最初勝てなかったから。」
「ま、武藤達は潰したけどな。あいつら生意気だし。」
『運命』は3勝4敗で終了。
上位チームには全敗したが、とれる所からは取っている。
「運命の歯車は回ったばかり。」
「そうそう。ネクストで勝負ね!」
『νジェネ』は5勝2敗で日程終了。
優勝候補に筆頭『サイレントヴォイス』を打ち破ったνジェネだったが『ジューシーペア』に敗れたのが痛かった。
「まったく、今思い出しても腹が立つわ~あのゴリラ女。」
「ちょっとめぐみ、先輩に向かってゴリラはないでしょ、ゴリラは。」
「千種だって、思いっきり言っているじゃないゴリラって。」
「あ…」
口に手を当てる結城だったが、もう遅い。
「…えーとマッキー選手とラッキー選手、この借りはさっさと返しますね。」
「あんたも十分失礼だと思うよ、千種。」
2勝5敗の『チームV』は、チームリーダーのハンはコメントを出さず、永沢がコメントを残している。
「このような舞台へ出させていただき、いい経験になりましたナリマシタ。だけど、やっぱり結果が出せなかったのは悔しいです。絶対ゼッタイ強くなります!」
デビュー半年でのこの経験を、彼女がどう活かすかだな。今後成長が楽しみだね。
☆メインイベント・EX―Sタッグリーグ公式戦☆
ここまでリーグ戦6戦全勝のEWAタッグ王者『パーフェクツ』と、それを1差でおう1敗のAACタッグ王者『サイレントヴォイス』
この試合『パーフェクツ』が勝てば全勝で優勝決定、もし『サイレントヴォイス』が勝てば同点となり再試合、優勝決定戦を行う事になる。
ここで決めたい『パーフェクツ』と、ここは負けられない『サイレントヴォイス』
この両者の気持ちが、このカードとしては珍しく早い展開を作り出す。
戦前の予想では、最低40分は戦うだろうと思われたのだが、展開されたのは予想外のハイスパートレスリング。
まるで60分1本勝負ではなく、15分1本勝負か?と思わせるほどの仕掛けの早さである。
「試合時間15分経過、15分経過!」
このアナウンスが入った頃には、両チームボロボロだった。
この試合、一体どの技で決まるのか?
みことの『草薙流竜巻兜落し』か、伊達の『シャイニングフェニックス』か、それともカンナの『クロスフェイス・カンナ』いや、南の『ネオ・サザンクロスロック』かもしれない。
私はこの先の展開を読もうとしたが、この4人の攻防は私の…そして観客の上を行く。
結論から言えばこのどれでもなかった。最後は意外な技での決着となる。
『サイレントヴォイス』は、みことを場外へ落とし、『パーフェクツ』を分断すると、
南に打撃を叩きこんで動きを止めた。
「行くぞ!」
カンナの声に伊達が頷く。
二人はさっと南を挟むようにロープへと飛ぶ。
伊達が南の正面から、カンナが南の背後からアックスボンバー気味のラリアートを同時に放つった。『クロスボンバー』だ。
これで南の気持ちが折れ、みこともカンナの妨害でカットに入れず3カウントが入った。
「20分30秒!20分30秒!クロスボンバーからの体固めで勝者、伊達遥!」
仲間リングアナの声が響き、場内は歓声に包まれる。
「この試合の結果、EX―Sタッグリーグ戦は『パーフェクツ』南利美&草薙みこと組と『サイレントヴォイス』伊達遙&カンナ神威組が同点となりました。この後、この両チームでの優勝決定戦を行います!」
選手たちには過酷なスケジュールとなる。
今の状態でまともな試合が出来るわけもない。こういう時の為に用意はしてある。
私はマイクを持って立ち上がった。
「この後、優勝決定戦を行うと発表いたしましたが、選手の体調面を考慮いたしまして、変更させて頂きます。ただ今からリング調整の為10分間の休憩を挟み、休憩後はリーグ戦参加選手によるバトルロイヤルを行います。バトルロイヤル終了後、再度10分の休憩を挟み、優勝決定戦を開催いたします。」
場内からは即決着を望む声も多少はあったが、概ね歓迎ムードだった。
ちょっとお得なボーナストラックという感じでいてくれているのだろうか?
少しでも休む時間を与えたい。それが私の望みだ。
このバトルロイヤルについては、決定戦になった場合は開催すると、該当チーム以外の全選手に事前に通達してあった。今頃は皆準備をしてくれているはずだ。
リング上では結城、武藤、永沢がロープの弛みをチェックしたり、スカイブルーのリングマット上の汗をふき取ったりしていた。
「18分45秒、回転エビ固めで、勝者、永沢舞!」
バトルロイヤルは乱入したハンの掌底と、武藤の二―ルキックのアシストを受けて、マッキーを丸めこんだ永沢の優勝。永沢は賞金20万円をGET!
「やりましたヤリマシタ!!!…え~っ!!!賞金山分け?ひどいです、先輩。」
「ふん、だれのおかげで勝てたと思っているのよ?」
「えー、もちろんハンさんのおかげですよ(笑)」
永沢はハンと腕を組む。
「可愛くない!」
いや、武藤に言われたくはないと思うよ。
この10分後に行われた優勝決定戦は、ダメージの大きい南が精彩を欠き、カンナのクロスフェイスでギブアップを奪われてしまった。
この結果、優勝はAACタッグ王者『サイレントヴォイス』伊達遙&カンナ神威組となる。
やはり連戦になると伊達の回復力の高さは大きいな。
各選手のコメントは以下の通り。
「…………(長い沈黙なので略す)…嬉しい…でもまだまだだから。」
伊達はこのだけのコメントに10分近くかかった。。
「今回の優勝に満足せず、より精進していきます。大会を支えてくださったスタッフの皆さんに感謝します。」
カンナはスタッフへの感謝を忘れない。
「残念ですけど、やはり修行が足りなかったですね。」
「勝てると思っていたけれど、プロレスって甘くないわね。まだまだ完璧じゃないわ。」
みことも、南も悔しさが顔に出ていた。
ともかくみんな、お疲れ様。みんなの頑張りのおかげでいい大会になったと思う。
「社長、気遣ってくれて、ありがとう。でも、あのおかげで、休む時間はとれたけど、社長は私達が負けるって思っていたわけ?」
うっ…南の眼笑ってない、もしかして怒っている??
「ふふ、冗談よ。そういうケースも想定するのが社長の仕事だものね。社長もお疲れ様。そうそう、もうその似合わない格好は辞めていいわよ。普通の社長に戻ってね。」
ヒール社長の演出はもういいって事かな。
「ありがとう。ゆっくり休めよ」
こうしてEX―Sタッグリーグは幕を閉じた。
優 勝=6勝1敗『サイレントヴォイス』伊達遥&カンナ神威
準優勝=6勝1敗『パーフェクツ』南利美&草薙みこと
3 位=5勝2敗『ジューシーペア』マッキー上戸&ラッキー内田
4 位=5勝2敗『νジェネ』結城千種& 武藤めぐみ
みんなお疲れ様。
◇女子プロレス大賞◇
MVPはなんと2年連続で伊達が受賞。
「…来年も頑張ります。」
老舗の新女ではなく、新興団体のうちから2年連続してMVPを受賞できる選手が出てくるなんて、旗揚げの頃は思ってもみなかったよ。
伊達はもうスター選手なのだなぁと改めて実感する。
最初に彼女と会った時に「スターにする」などと言った自分が恥ずかしい。
彼女は自分の力でスターになったのだからね。
そして、最優秀新人賞は永沢が受賞。
「やったあ!これはとらないといけないってプレッシャーでしたデシタ!」
どうやら世間ではウチは『脅威の新人養成所』と言われ始めているらしい。
実際、最優秀新人賞受賞者を3年連続で出しているのだから当然かもしれないね。でも、そういう評判が立てば立つほど後の人間は辛くなるよな。
周りの期待が高いというのは嬉しいことではあるが、期待を裏切った時の落差も激しいはずだ。
誰もがたった一人の4期生永沢は凄いはずだ、大きく成長すると思っている。
これはやはり15歳の少女には大きなプレッシャーになるのだろうな。
受賞が決まったと聞いた永沢は、安堵の涙を流していた。
「よかった…ホントに。選んでくれた事に感謝、カンシャ!社長に先輩たちにも感謝、カンシャ。」
おめでとう永沢。でも、これからが本当のスタートだということは忘れないでほしい。
なんと今年のベストバウトは『伊達遥VSカンナ神威』が選出された。
伊達は2年連続の受賞となるが、昨年の相手はEWAのハンだった。
今年はカンナとのシングルでの受賞。NEW WIND勢同士の試合での受賞の意味は大きい。
「…カンナとだから…今年の方が…嬉しい。」
「負けた試合での受賞ですから、複雑な気持ちです。でも、年間で何百試合も行われた女子プロレスの今年1番という評価は嬉しいですね。」
確かに凄い試合だったし、いい試合だった。でも、負けて受賞というのはどんな気持ちだろう。
「嬉しいけど、素直には喜べない」…そんな感じじゃないかな。
ベストバウトのタッグ部門もNEW WINDから選出。
つい先日に行われたEX―Sタッグリーグの『サイレントヴォイス』VS『パーフェクツ』が選ばれた。
老舗新女のEXタッグリーグからではなく、我々のEX―Sタッグリーグから選出されたわけだ。
観客動員ではEXを上回っていたけれど、試合内容でもEXタッグを上回った証明がこれで出来たわけだ。
ある意味この賞を受賞した事が一番私としては嬉しかったよ。
なお伊達&カンナは昨年に引き続き同じチームで2度目の受賞となる。
「またとれて…嬉しい。」
「来年もとりたいですね。」
サイレントヴォイスは磐石か。
来年もうちのタッグ戦線はサイレントヴォイス中心になるのだろうか。
「2年連続受賞は嬉しいけれど、2年続けて負け試合じゃ素直に喜べないわ。今度は勝った試合で受賞したいわね。」
「修行を積んで、来年は勝って受賞します。」
この女子プロレス大賞の結果を受け、南の持つEWAのシングル王座には、伊達が挑む事になった。
「2度目の防衛戦にして強敵ね。遙には負けるわけには行かないの。遥が高みを目指すのであれば、私もその先を目指すだけよ。」
「ベルト…貰います。」
南と伊達、ライバル対決の結果はいかに。
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