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2017/06/23 05:39 |
NEW WINDの物語 第24話「社長……覚えていますか?」
NEW WIND社長 風間新 手記より
 


 改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。

 この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
 以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を楽しんでみてください。

(※今回はNEW WIND編のその33「社長…覚えてますか?」に該当するお話です。)
◇4年目3月◇

早いもので今年度も最後の興行となる。
 気づけば来月限りで、現在提携中のEWAとの提携が切れる時期になる。
 まあ、そういう団体間の政治的な絡みもあり、来月のEWA王座戦はEWAのエース、ハンの挑戦が内定している。
 そのハンを迎え撃つのは伊達になるのか南になるのか。  
南は王座こそ失ったものの先月の大会で現王者伊達からピンフォールを奪っている。 
挑戦者南にとってはリベンジマッチであり、王者伊達にとっても先月の借りを返すリベンジの場でもある。どちらがリベンジに成功し、ハンの挑戦を受けて立つ事になるのか。
これだけの好カードだけに本来なら1万人クラスの会場で開催したいところだが、今回は高知(南の地元)での開催が決定している。
人気選手の凱旋試合でもあり、すでに前売り券は完売、若干の当日券を残すのみとなっている。

◇試合当日◇

当日券の売れ行きがよく結局札止めとなった。 
ここのところうちの興行は盛況で、雑誌の熱戦譜を見るとすべての興行に(満員)・(超満員)・(超満員札止め)のどれかがついている状態だ。
 これは男子のプロレスを含めても極めて珍しい状況といえるだろう。
もちろん、それだけの動員をするからには、話題性だけでなく、内容で魅せなければならない。
「プロレスの華やかさ・美しさ・楽しさ・力強さ…このどれか一つでいいから、観客を魅了する。これがプロレスの基本です。」とはダンディさんの教えだ。
 ダンディさんは、華麗さと派手さと巧さで観客を魅了していた。
須永イズムはNEW WINDの選手たちにも確実に伝承されており、各選手のオリジナル技は、ベースとなる技に華麗さを加味したものが多い。
「そういえば社長、伊達が新技を完成させました。心配そうに『社長…覚えているかな…』と、言っていましたよ。」
 ダンディさんは微かに笑みを浮かべた。
「どのような技だろう?最近何か練習はしていたのは知っているけど。」
「見ればわかるでしょう。あの技が出たら多分勝負は決まると思いますよ。」

◇EWA認定世界ヘビー級選手権試合◇

『伊達遥VS南利美』…旗揚げから、まもなく4年。
 この4年間で一体何度このカードを組んだだろう。
だが、そんな事は関係ない。このカードは、何度組んでも違う味の出る、現在のNEW WINDが誇る最高のカードなのだから。

 今日も、伊達のヒザが大暴れ。『フェニックスJ』、『フェニックスニー』で南の体力を削り取っていく。
 だが、南はそのヒザを破壊すべく、リバースハーフボストンクラブ、サザンスクリュー、サザンブレーカーで足を徹底的に攻める。
 伊達のヒザは幾多の勝利を収めてきているだけに、対戦相手はヒザを殺す事を考えてくる。
 未だ伊達は関節技の防御が下手で、試合の度に悲鳴上げている。これは長い手足のせいか、それともセンスの問題か…そして、南は言わずとしれた関節技の達人だ。南にとって、伊達の関節防御テクニックなどは、赤子の手を捻るようなものだろう。面白いように関節技が極まっていく。
 伊達は散々足を痛めつけられたが、ヒザにこだわり、閃光ヒザ爆弾『シャイニングフェニックス』を南に叩きこむ。 
 この技が決まったのが、18分を過ぎたあたりだった。
 だがしかし、散々足を攻められた影響か威力に欠け、カウント2.5でクリアされてしまう。ヒザを押さえる伊達と、ふらつきながら起き上がる南。
南は、ここで意表をついて『裏拳』を放った。
 これはめったに出さない技だけに、伊達も予測ができず直撃をもらってしまう。
 ふらふらになった伊達目がけて、もう一発『裏拳』これはかなり効いたらしく、伊達はダウン。
南はカバーへ行くとみせかけここで、『ネオ・サザンクロスロック』
「あうあ…」
不意をつかれ悲鳴をあげる伊達。
「落せ! 落せ!」と場内から落せコール。
 おいおいプロレスわかってないなあ…ネオ・サザンクロスロックは変形のSTF(ステップ・オーバー・トゥホールド・ウイズ・『フェイスロック』)だよ。
 スリーパーじゃないのから「落せ!」はないだろう。
誤解しているファンの人は多いのだなあ…
 なんて私がブツブツ言っている間に何とか伊達はロープエスケープ。
 そして、ボディスラムで南をマットに叩きつけると…
「これで!」と高らかにフィニッシュ宣言。
 コーナーに駆け上がり…そのまま、後ろ向きに飛んだ。
(ムーンサルトプレスか?)と誰もが思ったが、そこからひねりを加えて450度回って南へとプレス!
「あっ!あの技は…」
 私の記憶に間違いがなければ、これは『フェニックス・スプラッシュ!』だ。 
難易度が高く、使い手はほとんどいないというほぼ幻の技だ。 
 場内がまさかの大技にざわつく間に3カウントが入った。
「21分32秒、21分32秒『フェニックス・スプラッシュ』からの体固めにより、勝者伊達遥~!王者伊達遥選手が2度目の防衛に成功です!」
 場内は防衛した結果よりも、フェニックス・スプラッシュで沸いている。
 それはそうだろう。これはめったに見る事ができない超大技なのだから。

◇試合後◇

「お疲れ様、南。」
「やられたわ。あんな凄い技を出してくるとはね。」
 相変わらず負けたのに南はどこか嬉しそうだ。
「感想は?」
「とりあえず、食事はパスね。遥って細く見えるけど重いのよ。ああ苦しいわ…社長も今度食らったら?」
「…遠慮しとくよ…」
 あれだけ鍛えている南ですらこの状態だぞ?私が食らったら大変だよ…

 さて、その技を決めた本人に話を聞いてみるか。
「伊達、すごかったな。」
 私のこの言葉に伊達は恥ずかしそうに顔を伏せる。
「ありがとう…あの、社長…」
「なんだい?」
「社長……覚えていますか?」
 伊達は恥ずかしそうにしつつも目はしっかりと私の表情を見ている。
「もちろん、覚えているよ。初めてAACに行った時、帰りの飛行機の中で『…フェニックス・スプラッシュを使いたいです…』と言っていたよね。大分昔のことだけど、ちゃんと覚えているよ。」
「…長くなっちゃった。」
「あれから2年半か、長かったな。でもそれは仕方ないだろう、難しい技だからね。」
「難しかった。」
「でもよく出来ていたよ。完成おめでとう。」
「ありがとう…でもまだまだだから…」
 『フェニックス・スプラッシュ』…あの時、初めてAACへ行った伊達が「使いたい」と言った技だった。だが、もともと難易度が高すぎて使い手はほとんどいない幻の技だし、当時の伊達のレベルではとても使いこなせる技ではなかった。
 あれから大分時間はかかったけど、伊達は努力に努力を重ねてレベルを高めていった。 
ちなみにあの技はダンディさんの指導を仰いだものだ。実はダンディさんは、現役時代に何度か使っていたらしい。
それにしても『フェニックスJ』から始まって、『フェニックスニー』、そして必殺の『シャイニングフェニックス』、めったに出さない隠し技の『フェニックス・スープレックス』があって、今度は『フェニックス・スプラッシュ』か。
 伊達の『フェニックスシリーズ』もずいぶん増えたよなあ…

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2008/03/12 19:00 | Comments(0) | NEW WIND 改訂版

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