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2024/04/20 12:05 |
NEW WINDの物語 第25話「5期生入団」
NEW WIND社長 風間新 手記より
 


 改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。

 この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
 以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を楽しんでみてください。

(※今回はNEW WIND編のその34「新しい仲間」に該当するお話です。)
◇5年目4月◇

「おーい、全員集合!」 
「社長、いきなりなによ。」
 『練習の邪魔をしないでよ!』と言いたげな南。
「な…なにかあった…の?」
 相変わらずリングを降りるとレスラーとは思えない伊達。
「くだらねえ事じゃないだろうなあ?」
「社長が集合させるのだからそれはないんじゃないの?」
「どーだか。」
 マッキー&ラッキーはリングを降りてもいいコンビだ。
「さて、皆集まったな。」
「で、社長…なんなの?」
「悪かったな、練習を中断させてしまって。皆に『新しい仲間』を紹介しようと思ってね。」
「やった~!これで雑用から脱出、ダッシュツです!」
 無邪気に喜ぶのは、たった一人の4期生でちょっぴり寂しがっていた永沢だ。
「私に勝つまではダメね。」
南は意地悪そうな笑みを浮かべる。
「えーそんなぁ…そんなの絶対ゼッタイ無理です!」
「じゃあ、あなたはずっと雑用係のままね。」
「ひどい~!!」
 まったく、南も大人気ないなあ。
 皆クスクスと笑っている。
「…そろそろいいかな?」
「あ、ごめんなさい社長、どうぞ。」
「では紹介しよう、新しく入団する事になった龍子君だ。」
 私のこの声を合図に、背の高い娘が入ってきた。
「なっ…サ、サンダー龍子!?」
 私に紹介されて入ってきた人物を見て 皆ビックリしたようだ。
永沢なんかは口をアングリとあけて言葉もでない。
「社長、サンダー龍子を引っ張ってきたのですか!?」
「新人じゃねえのかよ!」
「バカね、マッキー社長は『新人』なんて一言も言ってないわよ。『新しい仲間』って言っていたわ。」
「バカっていうなよ!」
「だってバカですから…」
「なんだと武藤、先輩に向かって!」
「私の方が強いですよ。」
「なんだと!」
「よしなさい!二人とも!」
 南、苦労かけるねえ。
「さ、みんなそろそろ静かにしてくれないかな。まだ紹介の途中だよ。」
 静かになるのを待って、話題の中心人物は自己紹介を始める。
「熊本県から来ました吉田龍子です。よくサンダー龍子に似ていると言われますが、実は親戚です。よく似ているって言われるけど、私は気に入ってはいません。皆さんヨロシクお願いします。」
「ちょっと生意気そうだけど、レスラーになるにはそれくらいの方がいいのよ。ようこそ龍子。NEW WINDへ。」
 選手を代表して南が受け入れ表明をする。
「南選手、よろしくお願い致します。自分は貴方と伊達選手を倒す為にここに入団しました。憧れであり、目標です。」
 NEW WIND5期生は地元九州出身の吉田龍子。
4期生永沢同様に同期はいないが、めげずに頑張って欲しい。
 

◇AACタッグ選手権試合◇

「千種~!しっかり~~!」   
 カンナの得意技『クロスフェイス・カンナ』に捕まってしまったパートナーに対し、カットに入らず、武藤が激を飛ばした。
 AACタッグ選手権試合は『サイレントヴォイス』VS『νジェネ』
「試合時間35分経過、35分経過。」
 このアナウンスと同時に結城の右手がロープへとたどりついた。
「ナイス、千種っ!」
「チッ!」
舌打ちをしてカンナは技を外し、間合いをとった。
「くうっ…」
 結城はロープをつかんで立ち上がる。
「ハアッ!」
カンナは、素早く間合いを詰めると、切れ味抜群の掌底を叩き込んだ。
「がふっ…」
油断していたのか、結城はこれをもろにもらってしまいヒザから崩れ落ちた。
「たてええっ!」
カンナは後から結城の長い髪の毛を掴んで無理やり引き起こすと、フルネルソンに決め、ドラゴンスープレックスを狙った。
 悲鳴と歓声が入り混じる。
「させないっ!」
しかし、投げに関しては結城の方がカンナよりも技術は上だ。結城はカンナのヒザを蹴飛ばし、フルネルソンクラッチを外すと素早くバックを取り返し、一気に必殺技であるバックドロップを放った!
「がふっ…」
 カンナは大の字になってダウンするが、結城もダメージが大きく、カバーに入れない。
「めぐみっ、任せたよ。」
「OK,千種!」
 カバーにはいかずに武藤にチェンジ。
「千種、ごめん!アレ決めるから、押さえて!」
「OK!めぐみ」
 武藤の指示に従い伊達を赤コーナーに押さえ込む。
「見ていなさい!伊達遥!」
武藤はそう叫ぶとコーナーに後ろ向きで飛び乗った。
あの体勢はムーンサルトプレスか?
いや、わざわざ「見ていなさい!」と言ったからには別の技を出すつもりなのかもしれない。まさか、フェニックス・スプラッシュを出すつもりではないだろうな? 難易度の高い大技ではあるが、武藤のセンスを持ってすれば使いこなせても不思議はないのだが。
 そして武藤はトップロープから後ろ向きに飛んだ。
(違う!いつもと違うぞ!)
 普段なら足を伸ばして飛ぶのだが、今回の武藤はヒザを抱えて飛んでいる。
 もしかして、ムーンサルトフットスタンプ?
いや、違うな。それならムーンサルトと同じ体勢でいけるはず。
それに高さも普段より高いし、回転も速い。勢いをつけすぎじゃないのか!
「まさかっ!失敗では!?」
「あれで成功ですよ、風間社長。」
ダンディさんは満足そうな笑みを浮かべていた。
 ヒザを抱えた状態で1回転した武藤はさらに2回転目に入る。
2回転目の途中で足を伸ばし、通常のプレス体勢に入った。
これは『ダブルスピンムーンサルト』かっ! 
 バン!「1!」
 バン!「2!」
 客席はフォールカウントの合唱。
トニー館レフェリーもやや興奮気味に3つめの手を振り下ろした!
バンッ!「3!」
「うおおおおおっ!!」
 この瞬間地鳴りのような大歓声。
「39分24秒、39分24秒。ダブルスピンムーンサルトからの体固めで勝者、武藤めぐみ。この結果、王者伊達遥&カンナ神威組が9回目の防衛に失敗。結城千種&武藤めぐみ組が新王者となります!」
仲間リングアナのアナウンスに再び歓声。
結城と武藤はコーナーポストに登って勝利のアピールをしていた。    

「社長! どうだった?」
「めぐみ凄かったよね~♪」
 はしゃぐνジェネの二人。
 デビュー2年でのAACタッグ王座獲得は快挙といえるし、それに倒した相手は、8度の防衛に成功している最強タッグ『サイレントヴォイス』なのだからその勝利の価値は高い。
 昨年末のEX―Sタッグリーグでの勝利はフロックではなかったな。
「社長?」
反応しない私を訝しげに見る二人。
「お、おお。凄かったな~あんな技は初めて見たよ。」
「でしょ?使い手はめぐみしかいないもんね~」
「うん。でも本当はカンナさんじゃなくて、伊達さんから獲りたかったけど…」
「相変わらずだな、お前は。」
「…社長だって社長のままじゃないですか、人の事はいえないと思いますけどね。」
 ま、確かにそうだが…
「では失礼します。」
「ちょっと、めぐみ、待ってよ!…すいません社長、失礼します。」
「あ、ああ。」
 それにしても『ダブルスピンムーンサルト』かぁ…
マスコミの中には武藤の事を『孤高の天才姫』なんて言っている奴もいるけど、それも分かる気がするよな。
 伊達のフェニックス・スプラッシュに刺激されたのだと思うけど、あれからわずか1ヶ月足らずであんな凄い技を身につけてしまうとはね。 
 これからの成長がある意味恐ろしいよ。
そして、孤高の天才姫を上さらに回る実績を残している結城がいるわけで。
この二人の3期生はこれからどこまで行くのだろう。先輩達も負けていられないよな。 
 
 その先輩の筆頭格である伊達は、EWAのエース、ハンの挑戦を『フェニックス・スプラッシュ』で退け、3度目の防衛に成功した。
 あえてフィニッシュに『フェニックス・スプラッシュ』を選んだのは、武藤のダブルスピンを意識してのことだろう。
 その前に決めた『シャイニングフェニックス』で3カウントは十分取れていたはずだし、わざわざ使う理由はそれしかないと思うしね。
 
 至宝奪還に失敗したハンは相当悔しがっていたが、一旦控え室に戻って気持ちを切り替えたようで、インタビュールームでは王者伊達を称え、「EWAマットで待っている。」とリベンジを誓って本国へと戻って行った。
 今月でEWAとの提携は期間満了となり、来月からはWWCAとの提携が始まる。
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2008/03/13 19:00 | Comments(0) | NEW WIND 改訂版

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