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2024/04/26 12:35 |
NEW WINDの物語 第43話「試練」

NEW WIND社長 風間新 手記より


 改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。

 この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
 以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を楽しんでみてください。
(※今回はNEW WIND編のその55「課題」およびその56「課題克服へ」に該当するお話です。)


◇6年目6月◇

 映画出演の決まっている氷室は欠場。これは予定通りだったのだが、欠員は一人では済まなかった。
 伊達&永沢の師弟コンビがWWCAタッグの防衛のため、みことが練習中のケガのために欠場・・・同時に4人も欠けるとはね。
 ようやく、発注していた最新の会場設備が揃い1万人を超える会場でも興行を打てるようになったのになあ。
 興行の方は、カオスが相変わらず猛威を振るう。最近、より強くなった印象。まず手始めに同じパワータイプのマッキーを『スコーピオン・デスロック』で一蹴。
 フィニッシュが『ダークスター・ハンマー』じゃない段階でレベル差がわかるな。
 勢いに乗るカオスは『EWA王者』結城をダークスター・ハンマーで葬り、6戦目に予定されているEWAタッグ挑戦に弾みをつける形となった。
 その結城はカンナの『WWCA王座』に挑戦するが、完敗。 
シングルでは連敗といいところがなかった結城だが、タッグチーム『νジェネ』としては絶好調。
 コーディの必殺『デスバレーボム』、カオスの必殺『ダークスター・ハンマー』を受け切り、相手の力を引き出した上で『合体パワーボム』でコーディを沈めてみせた。カオスはともかくコーディでは厳しかったか。
 厳しかったのは観客動員もだけど・・・初の『横浜スペシャルアリーナ』進出だったのだけど動員はわずかに11698人。空席が目立つ結果になってしまった。やはり欠員が多い状況での冒険は失敗だったか。これで連続札止め記録も、45でストップとなった。

 ◇最終戦両国大会◇

 ついにこの会場まで進出しかも札止めとは、感動したよ。その記念すべき第1試合は南姉妹対決。
 南の容赦のない攻めに、客席からブーイングが飛ぶ。南にブーイングが飛ぶなんて、初めてのこと。終盤にはハイブリットコールまで巻き起こる異例の第1試合となるが、今のハイブリットが、南に勝てるわけがない。
 南はブーイングを楽しむようにハイブリットを関節でたっぷりと苛めてから、最後は念入りにネオ・サザンクロスでフィニッシュ。そこまでしなくても・・・と思うのだけど・・・
「関節防御があまりにお粗末だったから、ちょっとね。」
 南は悪びれもせず「当然だわ」という表情。
「手加減されても意味ありませんから。」
「そういうことよ。別に苛めているわけじゃないの。そうね、実戦稽古のようなものかしら。でもそれじゃあ魅せるプロレスにはならないじゃない?」
 魅せるプロレス・・・か。
「だな。それでか」
「そういう事。私が悪役(ヒール)になれば盛り上がるでしょ。だから苛めているように魅せた・・・完璧だわ。」
 
 この後のセミファイナルは『νジェネ』VS『ジューシーペア』
 以前なら黄金カードだったのだが、今日は盛り上がらないまま終了、ジューシーには荷が重すぎたか・・・
 メインのカンナVSカオスがハイスパートなレスリングで大盛り上がりをしてくれたので興行としては盛り上がって終わったので、助かったけど、課題が多く発見される大会になってしまった。
 会場が大きくなればなるほど、それを支えるソフト面が強くないといけないな。
 どうやって克服するか・・・それを考えてみるか。




「ほへえ!?」
 社長室で3時のおやつをほお張っていた私は、突然の報告におやつを口に含んだまま驚いた。
 井上さんの情報は二つ。一つは吉田のジュニア王座返上の表明と防衛戦の為のWWCA遠征。これは想定範囲内だ。
「ついでといっては何ですが、吉田さんには写真集のオファーが来ていますが。」
 吉田は黙っていれば『綺麗なお姉さん』に見えなくもない。まだ、デビュー2年目16歳だけど大人びて見えるので19歳くらいにも見えなくない。 海外遠征のついでにといっては悪いが、ロケも海外で出来るだろう。
「あと、先ほども申しましたが、カンナが練習のオーバーワークで負傷。今シリーズは出場できません。」
 うーんこれは問題だな。カンナはベルトを保持しているし、集客力も高いので欠場は痛い。
 今月は若手の成長株吉田と、エース格のカンナを欠く陣容での興行になってしまうな。
「仕方ない。課題克服もかねてシングルを厚めにするか。」
 私は一旦発表しかけた対戦カード表をくしゃくしゃと丸めてゴミ箱へと放りなげ・・・ようとしたが、これは秘密情報なだけに思いとどまり、シュレッダーにかける事にした。何しろ最近は情報管理がうるさいからね。
 私はマッチメイク会議を開くべく、南と伊達を呼び出す事にした。


◇永沢舞ヴィクトリーロード2◇

 マッチメイク会議の結果、永沢のヴィクトリーロードの続編として、ヴィクトリーロード2を開催、今回は先輩達(マッキー&ラッキー&氷室)にシングルで挑戦することになった。
 
☆ヴィクトリーロード2第1戦☆

 ラッキーの上手い試合運びと変幻自在の関節技に苦しめられた永沢だったが、WWCAタッグ戦線で鍛えられた投げ技一発で形勢逆転!
 最後は代名詞となりつつある必殺『テキーラサンライズ』でラッキーを沈めてみせた。
 3年後輩となる4期生永沢に敗れたラッキーはショックが大きく、コメントが残せるような状況ではなかった。
「勝ちました、勝ちました!」と永沢は単純に喜んでいたけれど。  


☆ヴィクトリーロード2第2戦☆

 マッキーのパワー技に苦戦する永沢。
「てめえなんかにやられてたまるかよっ!」
 マッキーにも意地がある。だが、永沢がトップ戦線で揉まれている。マッキー程度のパワーなら、受けきるだけのタフさは身に着けたようだ。
 受けきった上で、ラッキー戦同様に鋭い投げ技一発で形成逆転!
永沢の投げの威力はすでに超一流の域に到達しつつある。他の技との差が大きいけどね。結局マッキーも『テキーラサンライズ』で撃沈。 
『ジューシーペア』が枕を並べて討ち死にとは・・・永沢はそこまで成長してきたか。
 経営者としては新世代の成長は嬉しいけど、旗揚げから見ているマッキーとラッキーが負けるのは寂しものがある。複雑だなあ・・・
「今日も勝ちました、勝ちました!」
 永沢は今日も楽しそうだ。
 

☆永沢舞ヴィクトリーロード2第3戦☆

 3人目の相手は氷室。まったく目立つところはないが、団体トップクラスのテクニシャンだ。
 勢いなら永沢だったが、勢い任せの『たいあたり』を上手く関節技で切り返されてしまう。ならばと投げ技で状況打開を狙うが、組み付いたところを関節技で切り返され、グラウンドで苦戦する場面が連発。
 全体的にみれば技の威力は永沢が上だったのだが、氷室の関節技が冴える。
 最後はリング中央で氷室必殺の『紫龍』が炸裂し、永沢がギブアップ。
永沢舞ヴィクトリーロード2は2勝1敗で終了となった。以前よりも確実に強くなっているな。シングルでもそのうち上位に食い込んできそうだよ。 

「お疲れ・・・舞。」
「遥さん・・・でも紫月さんに負けたのが悔しいです。」
「次・・・勝つの。」
 伊達は二コリと笑う。
「はい!頑張ります!」
 永沢はある意味素直だな。これから先もまだまだ期待できそうだ・・・伊達、頼むよ。


◇最終戦◇

 7月シリーズの最終戦は豪華版で、上位選手同士のシングル3本立てだ。
 
 ☆1本目 草薙みこと VS 南利美

 シリーズ序盤にもこのシングルは組まれており、草薙流裸絞め(変形ドラゴンスリーパー)でみことが勝利している。
 最近は組んでいないが、タッグチーム『パーフェクツ』の同門対決でもある。
 みことのファイトスタイルは南の影響を受けているので、南とは基本的に手が合う。
 序盤のエルボーの打ち合い、エルボー狙いを脇固めで切り返す切り返し、離れての掌底で削り合い。合わせ鏡のように同じ技で対抗していく。
だが、同じように見えても、みことの攻撃の方が確実に重い。
 徐々に均衡が崩れ始めると、雪崩のようにみことの投げ技ラッシュが始まる。
 うっちゃり(変形のフロントスープレックス)からはじまり、草薙流兜落し(変形裏投げ)から草薙流竜巻兜落し固め(旋回式JOサイクロンSH)とつなぎ、南の体力を奪う。 
 南も珍しく綺麗なジャーマンを見せるが、みことは投げの受けが強い。
何事もなかったかのように立ち上がったみことは、『秘技・高角度草薙流竜巻兜落し固め!』
 これは決まったかと思ったのだが、南はこれを2.9でクリアし、意地を見せる。
 驚愕の表情を浮かべるみこと、南はここで必殺『ネオ・サザンクロスロック』!
 長時間捕まってしまったみことだったが、なんとか振りほどく事に成功。
 最後は草薙流裸絞め(変形ドラゴンスリーパー)で南がギブアップ。
みことはかつてのタッグパートナーに成長を見せつけた形となった。
 南さん・・・ありがとうございました。」
 リングで最敬礼をするみことに対し、南も最敬礼で返した。その表情は、負けたとは思えないほど満足そうだった。
 
☆2本目 結城千種 VS ダークスター・カオス

 最近不調の結城と、絶好調のカオスの対決。
 結城はシングル王座を保持している以上、ここで負ける事は許されない。カオスは序盤から重い(新人なら一撃で沈むだろう)ダークスター・ハンマーを連発し、結城は得意の投げでカオスの巨体(女性に対して失礼かもしれないが・・・)をマットに強烈に叩きつける。
 結城、カオスともに短期決戦スタイルを得意としているので展開が速い。
 最後はダークスター・ハンマーを耐え切り、バックドロップ2連発で結城が勝利。
   

☆3本目 伊達遥 VS 武藤めぐみ

 受けの上手さとタフネスでロングマッチを得意とする伊達と、結城同様にハイスパートレスリングを得意とする武藤。
 お互いに相手の得意な試合にはしないようにしているので、序盤はぎこちない感じ。
 エルボーで確実に削りにいく伊達と、隙あれば大技で流れを変えようとする武藤とでは仕方ないのかもしれないが、これは課題だな。
 当然柔軟性の高い伊達がハイスパートレスリングに付き合う形になるが、基本的に伊達の攻撃の方が重い。
 伊達は『暴れん坊なヒザ』コンボで武藤をほぼKO状況に持っていくと、最後はアキレス腱固めで武藤からギブアップを奪った。

 これには会場中びっくり!

 伊達がギブアップ勝利というのは、かなり珍しい光景なのだから当然だが。そもそも勝利した伊達自身が驚いているのだから・・・。
 やられた武藤は「完全に極められて・・・私もびっくりしてギブアップしたのよ・・・」と力なく応えるのがやっとだった。
 1度はアキレス腱固めと発表したが、大会終了後に『伊達流サザンブレーカー』に訂正。
 伊達が南に教わった技という事らしい。南の『本家・サザンブレーカー』と形が微妙に違うので『伊達流』がつく事になった。
「リーチとコンパスが違うから同じ形にはならないのよ。完璧じゃないわね」 と南は言っていた。
 関節防御はまったく進歩しない伊達だけど、関節技の方は上手くなったなあ。
 まだまだ課題も多いけど、毎月進化した形を皆が見せてくれるのは社長として嬉しいよ。


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2009/03/16 18:00 | Comments(0) | NEW WIND 改訂版

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