忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/04/18 20:01 |
NEW WINDの物語 第49話「クリスマスイベント」  

NEW WIND社長 風間新 手記より


 改訂版発行にあたり、編集部よりご挨拶。

 この作品は連載126回で終了した長編リプレイ『NEW WIND社長 風間新 手記』に大幅な加筆・修正を加えた作品です。
 以前の作品と比べると印象が変わる部分もあるかもしれませんが、より深みを増した風間新社長率いるNEW WINDの成長物語を楽しんでみてください。
(※今回はNEW WIND編のその63「クリスマス」に該当するお話です。)


「社長、今年のクリスマスはどうするのかしら?」
 不意に南に尋ねられ私はちょっと動揺する。
「え?どういう意味かな?」
「どういう意味も何も…去年はできなかったから、今年は企画しているのでしょ?」
「今年はあれね、ファン感謝イベントやるからその日。」
「はあ?24日にやるわけ?」
「うん。その方が色々好都合だからね。」
 南が聞きたかったのはみんなでやるクリスマスパーティの事。
 一昨年までは毎年開催していたのだが、去年は翌日に大会が控えていたし、それになによりケーキ作りのためにそれどころではなかった。
「好都合ってどういうこと?」
「ファンは喜ぶでしょ?一人身のファンからすれば、クリスマスイブを憧れの選手と過ごせるなんて最高の贅沢なのだからね。1対1ではないにせよ、『また応援しちゃおう!』って思える糧となる。」
「現実的ね…」
「まあね。でも男性ファンだけでなく女性ファンからしても同じさ。つまらない男とすごすならカッコイイ女性と過ごしたい…こう思うものさ。」
「ふーん。でもそれだけじゃないでしょ?」
 南は私の目的を察したのか意味ありげに笑う。
「まあね…監視も出来るし。一応3禁(酒・タバコ・男)はだからね。」
「…で、社長も参加するのよね?」
 南は笑みを浮かべる。
「なんだ、その意味ありげな笑いは。」
「社長は一人身だから、憧れの選手達と過ごせて嬉しいんじゃないの?」
「ばっかいえ。だれが憧れるか、お前らなんかに。」
「あらあら素直じゃないわね。本当は嬉しいクセに。」
「私は参加しないよ。」
 この言葉に南の顔色が変わった。
「社長…いないの?」
「ああ、大事なデートがあってね。」
「…私達を放って出かけるなんて……でも、考えてみれば社長も『いい歳』だもんね。それぐらい当たり前よね!」
 なんかとげのある言い方だな。
「うるさいよ。どうせお前らからみればオジサンだよ、私は!そんなことより、出し物とかファンへのプレゼントとか考えておいてくれよ。」
「はいはい、わかったわよ。オ・ジ・サ・ン。」
 グサッ!人に言われるとダメージ残るなあ・・・


◇ファン感謝イベント 『風の贈りものー19:00発』◇

「19:00発…って電車じゃないんだからさあ。」
「私はなんだか優しい感じがして好きだな。」
「これってあの映画のタイトルからつけたんだろう?あの映画アタシ結構好きだな。」
「マッキーの地元だもんね。」
「ああ、ちょっと違うけど懐かしいぜ。」

 さて、今回のイベントではめったに見られないレアな企画を用意。
1:永沢舞のアニソン熱唱
2:結城と武藤のデュエット
3:伊達と吉田のサイレント時代劇(セリフ喋れるわけないし)
4:南姉妹による関節技体験コーナー
5:マッキー&ラッキーのデビュー曲『駆け巡る聖書(バイブル)』のお披露目&漫談
6:カンナ神威VS草薙みこと トークバトル”10分1本勝負”
7:シークレットライブ 

「社長、どうしたのよ、何故いるの?」
「うるさいなあ。この間は見得を張っただけだ。私が監視をしないで誰が監視するんだよ。」
「そう。なら社長も楽しみなさいよ。折角皆で考えたんだから。」

 集まったファンは425人(超満員札止め)
 それぞれ永沢のアニソンに悶絶したり、あのツンツン武藤がラブソングを歌うのを聞いてびっくりしたり・・・伊達と吉田のサイレント時代劇の動きの綺麗さに思わず見とれたり。(なおこの時代劇の監修はみこと。)
 南姉妹の手加減なしの関節技で悲鳴を上げるファンが続出。もっと手加減しなさいよ。
 おかげで、目玉の『初披露Wネオ・サザンクロスロック』の体験希望者が誰もいない。

 そこで可愛そうなことに・・・取材にきていたガールズ・ゴングのO坂記者がマッキーと吉田に無理やり舞台へと担ぎ上げられ、南に右足ロック&フェイスロック、ハイブリットに左足ロック&スリーパーをかけられ悶絶。
 可愛そうに・・・しばらく仕事はできないな。

『ジューシーペア』は1月に発売予定のデビュー曲『駆け巡る聖書(バイブル)』を熱唱。
 その後二人で漫談を行ったのだが、歌よりも漫談の方が評判よかったみたいだ。
 
 貴重なカンナの話が聞けると思われたトークバトルは・・・
「ああ。」「そうだ。」「だね。」
 短い言葉しか話さずに通すカンナであり・・・ほとんどみことが喋る形になってしまってバトルとしては成り立たなくなった。

 最後のシークレットライブとはスペシャルゲストによるライブショー。
これにはNEW WINDとも縁があるビッグなゲストを呼ぶ事に成功した。

 正直私も近くでみたいので、場内を監視するふりをしてステージのそばへ移動する。
「青コーナーより、ローズ・ウイップ認定お嬢様ファイト女王、氷室紫月選手の入場です!」
 お正月公開の映画『女子プロお嬢様伝説 ユイナ』のコスチュームで氷室が入場。
 いつものコスチュームに比べるとかなり、キンキラしてゴージャスになっている。 
 共演のビューティ市ヶ谷のガウンみたいに派手だが、ちゃんと氷室のよさを引き出すようにはなっているね。  
「紫月お嬢様~~!」
 男性ファンの声が飛び、氷室が恥ずかしそうに下を向く。
「赤コーナーより・・・『神楽坂ユイナ』選手の入場です!!」
 神楽坂ユイナ・・・今人気絶頂のお嬢様アイドル。他にも数多くのお嬢様アイドルがいるが、彼女は屈託のなさ、気取らない態度で絶大な人気を得ている。今回ここに参加してもらえることが奇跡のようなもの。
「NEW WINDファンの皆さん、こんばんは~!」
「こんばんは~!」
 ちゃんと返事を返すファンの皆さん。礼儀正しいぞ。
「初めまして神楽坂ユイナです!今日はいつもと違う雰囲気で、とってもとっても緊張していますけど、みなさんの為に、精一杯心を込めて歌いますね!」
 さすがトップアイドル。マイクアピール(?)も堂に入っている。
 うちの所属選手たちも、全員ステージに釘付けだ。
「あのお客さんを引き付ける術は、勉強になりますね。」
「ある種の天才・・・カリスマみたいなものね。」
「ふん、バッカじゃないの、みんなして。」
「なんだよ、武藤、嫉妬か?」
 
 ユイナは1曲目『お嬢様のたからもの』を歌い終えると袖に控えていた氷室を呼び出す。
「次に歌う曲は、私と紫月さんが出演している映画『女子プロお嬢様伝説ユイナ』の主題歌『月と太陽の贈りもの』です。この曲は紫月さんも歌っています。ね、紫月さん。」
 ユイナは緊張し固まっている紫月に声をかける。
「は、はい。」
 紫月はとても硬い返事を返す。
「もう紫月さんたら、ここで歌うのも『運命』よ。」
 この機転の利いたセリフに場内爆笑。紫月の肩からふっと力が抜けるのがわかった。
『グッジョブ』ですよ、ユイナさん。
「運命・・・」
「そう、運命です。ここで皆さんとお会いできたのも運命です。皆さん今日聞いていい曲だと思ったら、CD買ってくださいね!『みなさんが買ってくれるのも運命』なんちて。」
 この一言で盛り上がる客席。いい仕事するねえ。氷室もちょっとだけ参加しているこの曲は優しいバラード曲。氷室の声もあっていた。
『月と太陽の贈りもの 二つの光に照らされて 私の夢が歩きだす 夢が歩くと新しい風が そっと夢を包んでくれる 』
 これも『運命』だ。いい曲だよ。決めた、買う!。
「社長、神楽坂ユイナのファンなの?」
 イベント終了後、きっちりサインをゲットした私に南が呆れ顔できく。
「めちゃめちゃ可愛いし、いい子だよ!人気あるのがわかるよ。うん。」
 浮かれる私に対し、南は苦い顔をする。
「・・・」
「あ、別にファンじゃないけど、こういう機会でもないとサインなんてもらえないじゃないか。だからだよ。」
 弁明する形になってしまった。
「そう。 あ、そうそう社長にプレゼントがあるの。」
「なに?」
「南利美サイン色紙つき、特製クリスマスケーキ ネオ・チョコレート固めよ。」
 南はニヤリを笑った。以前のチョコレート固めでもギブアップしたのに、明らかにチョコがパワーアップしているようだ。
 私は諦めてそれをいただくことになった。・・・恐怖を感じながら・・・


PR

2009/03/22 18:00 | Comments(0) | NEW WIND 改訂版

コメント

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<進行状況 | HOME | NEW WINDの物語 第48話「感じるもの」>>
忍者ブログ[PR]